わが悲しき娼婦たちの思い出

ガボ10年振りの新作「わが悲しき娼婦たちの思い出」を読みました。

独身老人、90歳の誕生日を迎えたその日から始まる物語。
これ以上は、これから読むかもしれないあなたの楽しみを奪うことになるから書かない!
孤独を感じて泣くことがある人、それから年齢の悪魔に怯えることがままある人、
あなたがたはこの本を読まなきゃだめよ!
最近私は、年齢の悪魔に悩まされることが多くて、自分では気にしてなくても
冗談でも、誰かに年取ってるって事を言われると、ガラスの破片が刺さるように痛い。
でも時間の流れだから自分じゃどうしようもできないし、お金をいくら積んでも変えられない…。
この本は、大きな海みたいに私を包んで、時の流れへの恐れを水に流してしまった。
時間は流れる、誰もが歳をとる、秒単位でタイムリミットが近づく、けれど…
たぶんこの本は、今生きている多くの90歳未満の人達を、そのまま笑顔にするだろう。
もしあなたが90歳以上だとしても、読んだほうがいいと思うんだ。


この本を読んでいて、ネタバレせずに書ける絶対的な感想をふたつ
『恋はマジックリアリズム
加藤ひさしさん、どうかどうか、こんな歌を作ってください!)
それから、
『人生なんてマジックリアリズム
ガボは90歳の非ボケ老人の心のなかに、マジックリアリズムが搭載されてることを、しゃらりと
孤独な思い出語りや、回想や、恋や性欲の風景のなかにみせてくる。
過去と現在と、現実と非現実が交差しているその物語のなかで
最後の最後に訪れる、現実の鮮やかさは素晴らしい!!!
きっとあなたの雨雲が、スコールのようにさんざん雨を降らせて、からっと晴れる。
やまない雨はないって言うね。終わらない怒りも悲しみも、孤独もないんだ。きっと。
90年の孤独を通過した男がみたリアルを、彼と一緒にみて、生きていくのです。


はいじゃあ、ついでにBGM↓この本と合いすぎです。最後の曲のぶっ壊れそうなピアノの音なんかもう!