THE DEPARTED

今年のアカデミー賞、ついに!ついに!やったー!
マーティン・スコセッシが監督賞を受賞しました!うれしい!超嬉しい!
作品賞も取ってしまった「THE DEPERTED」
死者、と題されたこの作品は香港映画「インファナル・アフェア」のリメイクで
スコセッシがリメイク?というだけで興味深々だったけど、更にアカデミー賞いただき!
ってね、それはもう、凄いことになってるに違いない!
ネットで予告編をみた。薄暗いがらんとした部屋で、ジャック・ニコルソンの逆光シルエットが
ゆっくり、ゆっくりと歩く。
おもむろにローリングストーンズの「ギミー・シェルター」のイントロが流れる。
バン!バン!バン!
私もうそれだけで、鳥肌立ちました。スコセッシ万歳!
そうか、こうくるか、ていうかこれしかないか。スコセッシだもの。
ディカプリオが見たことない顔をしている。それがなんか引っかかって・・・(続きは後半。)


今夜、やっと観ました。
香港ノワールの名作が出揃い、類似品が大量生産され、ブームが過渡期を迎えたころにつくられた
インファナル・アフェア」は、香港電影らしいけどらしからぬ、画期的で新しいノワールという印象だった。
銃撃戦や人情のアツさよりも、ストーリーの面白さが大きな柱になっていて
アンディ・ラウとトニー・レオンの二大スターにキャーするよりも(したけど(笑)みどころは、
彼らの心理戦や、映像のスピード感・・・これは香港の十八番だけど、確実にウォン・カーウァイ以後のもの。
ユンファとジョン・ウーがハリウッドへ行ってしまった香港電影界で、アンディ自身が監督したこの作品は
やっぱり香港映画に新しい道筋を照らしたかったのかな、と思ったんだよな。


香港マフィアの物語を、ボストンのアイリッシュマフィアに置き換えた。
グッドフェローズ」を思い出すかな?でもそれだけじゃなくて、私はこの作品をみて
タクシードライバー」「ミーンストリート」「レイジングブル
あの感覚を思い出してしょうがなかったのだ。
路上、ざらついた街と世界、野生、死の匂い、生々しい感情が浮かぶ、街の片隅どこか。
リアルなんだよ。
物語は面白い、なにせリメイクされるぐらいだからね、保障する。
ディパーテッドがやったのは、面白い脚本(映画)を、とことんリアルに描いたことだ。
ストリートをけれん味なく容赦なく描き、登場人物を剥き出しにして、焦燥感をつきつける。
素晴らしく丁寧で、真っ直ぐにぶち放す。
世界中のうそつきと仮面を被った男女がこれを観ればいい。その防弾ガラスを粉々に砕く力がある映画なのだ。これは。
私はスコセッシとこの作品がアカデミー賞を受賞したことを、本当に嬉しく思っている。


先ほど書いた3作品に居た、ロバート・デニーロはこの作品には居ない。
でも、そこに誰が居ると思う?レオナルド・ディカプリオだよ!
私はディカプリオについて特になんの情感もなく、彼が最近のスコセッシ作品に続けて出ているのを観ても
ちょっと、いっぱいいっぱいだな・・・と思っていたの。
アビエイター」での大熱演は、すごく良心的というか、頑張っていていいなあと思ったけれど。
でもディパーテッドでは、すっと自然に、とり憑かれたように作品世界に入り込んでいて
ほんとうに、見たことない顔をしていた。完全にスコセッシ作品の『主人公』なのだ。
あの頃のデニーロみたいに。圧倒的に魅力的で、目が離せなくて、どうにも愛しくて。
私は無類のスコセッシ好きとしてはっきり言っておきます。
この作品でディカプリオは、デニーロ&スコセッシの黄金タッグの再来を果たしてしまいました。
きっと暫くの間、ディカプリオ&スコセッシの黄金時代が続くでしょう。


そんなわけで今夜の目撃を境に、レオさんに首ったけなわけです・・・。
あのね、デニーロよりもっともっと繊細なんだよ。それがいいの・・・。