ウィリアム・ウェッグマン 愛犬好日

akk2004-11-12

ウィリアム・ウェッグマンの愛犬好日@渋谷パルコミュージアムへ行ってきました。
これがけっこう、案外、すごく良かったんですわ。


簡単に言えば「なめねこの犬版」っていうかこっちが元祖だけど、
ウェッグマンの愛犬に服を着せたり、カツラ被せたりして擬人化してる写真作品。
きっと誰でも一度は目にしたことがあると思う。
服といっても犬用ではなく、人用の普通の洋服。
実際に撮影に使った洋服も飾ってある。
いかにも外国の古着って感じの、キッチュでかわいらしい服ばかりだった。


単に犬写真とはいえ、これが様々なスタイルで撮影されている。
今回の展覧会で見ただけでも、これだけある。
 ・ユーモアいっぱいの擬人化写真
 ・犬アート と呼びたい、すっごく洗練されたアート写真
 ・犬のモード界。って感じのファッション写真
 ・ノーマン・ロックウェルの古きよきアメリカの人々、を犬々にした写真
 ・童話や絵本を、犬で実写化した写真
 ・子犬たちを素朴に撮影した写真
まあ、すごいんだわ。犬の役者ぶりもさることながら、その演出力に感動!
この人、超アイデアマン。ひらめいたビジョンをはっきりと絵にしている感じで、
すばらしく潔いのだ。


かのシェイクスピアの作品を題した「真夏の夜の夢」は中でも一番魅せられた。
黒バックと犬と妖精の布。完璧。
と書いてもなんのこっちゃと思われそうだけど、そんなシンプルな舞台と演者だけで、
真夏の夜の夢」のイメージの凝縮が表現されている。完璧なバランス!
誰が映像化してもなぜか共通する、あの物語の幻想風景がこの写真にもあるんだ。


対極にある、子犬たちの素朴な写真もまたすごく良かった。
腰の据わらない、まだ生後2週間ぐらいの子犬を空に飛ばしたり、一生懸命あるく
姿を撮ったり、小石の中に置いてカモフラージュさせてたり。
とかなり無邪気な作品群。
この犬達の扱いは役者ではなく、やんちゃな子供が彼の世界に迷いこんで、
遊びまわってるのを笑いながら撮影してるような感じ。
他の作品がほぼ全て室内なのに対し、子犬は外で撮影されている。
子犬たちが、生まれた世界を好奇心いっぱいで見ているようだ。


写真集や写真絵本、Tシャツ、バッグ(謎のコラボ風)などグッズも沢山売っていた。
でも欲しかった写真集は「真夏の夜の夢」の写真がちょっと暗く印刷されてて残念。
展覧会のグッズ売り場でよくある事だけど、今回は購入見送り。
とても気に入った作品て、些細な違いでも気になるものよね・・・。