トリン・T・ミンハ特集上映

akk2005-02-06

トリン・T・ミンハの特集上映@イメージフォーラムシネマテークへ行ってきました。
シネマテークは初めて行ったけれど、映像研究所
(専門学校みたいなとこ)の教室での上映なのね。
椅子はいわゆる折りたたみテーブル付きの、授業受けそうなやつ。
立ち見が出るほどの盛況で、人の頭で字幕が見ずらくて・・・それはおいといて。


トリン・T・ミンハはベトナム人のドキュメント映画監督。
『姓はヴェト、名はナム』が有名かな?私もこれしか見ていませんでしたが、
これが結構すごかった。フィクションとノンフィクションの臨界点を見せるような
作品だった。


今日観たのは「ルアッサンブラージュ」と「核心を撃て」の二本。
ドキュメンタリー映像に、私的で率直なモノローグが被る。
なんだかゴダールみたいな映像と音声の分離感もあるし、真逆にミンハの目線を
疑似体験しているようにも感じる。


「ルアッサンブラージュ」は、セネガルの人々の生活を記録した映像、民俗音楽と
共に、ミンハがカメラを回しながら感じている現実を、ぽつりぽつり話す声がする。
『何の映画?』
セネガルの映画よ』
セネガルの、何について?』
繰り返し出てくるこの言葉に、ミンハは明確な答を返さない。
その回答は『リアリティは繊細なのだ』という一言なんだと思う。


「核心を撃て」は、大きな大きな謎の国・中国の思想を追った作品。
東洋思想の大きな根源の一つである儒教と、ソビエト共産主義と、毛沢東
切り開いた社会主義と・・・同居してるのかミックスしてるのか。
何が中国の真実なの?大きな共和国だから、てんでバラバラなの?
近年の上海バブルや産業的な拡大、まるで核心は、大きな張子の竜の中に
閉じ込められているようだ、異邦人の私には。
中国の映画検閲や、毛沢東以前、以後、文化大革命の話。ソ連の影響下の話。
そして天安門事件のこと。
ミンハは色々な人にインタビューしながら、思考をめぐらせてゆく。
とても印象的だったのが、この言葉。
『紅は、ときに新しいイデオロギーで染める必要がある。
紅は褪せやすい色だから、何度も染め直すのです』
中国の『紅』が鮮やかであり続ける為に、新しい思想や、世界を提示する。
それだけだ。
あれこれ言おうと、右でも左でも、雑多な思想のるつぼであってもそれでよい。
明確だし、ちょっとすごい。カルチャーショックを受けました。
この映画は、1991年の映画だ。
今の中国を、ミンハはどう思っているんだろう。すごく知りたい。


来週2/13も上映ありますよ〜
詳しくはこちら→http://www.imageforum.co.jp/cinematheque/861/index.html