アメリカ・インディアンからの手紙

本屋で何となくページを開いて、目からウロコがぽろっと落ちた本の話。
アメリカ・インディアンの書物よりも賢い言葉」を読みました。
著者のエリコ・ロウさんは日本人です。
この本はとても慎み深く大切に、愛情込めて作られています。
装丁も素敵だし、言葉の見せ方やページ構成がぐっとくる。
私がいい例だけど、ページをめくるとパッと『賢い言葉』が目に飛び込み、
深く読みたくなる。とても心に沁みやすい。
私はきっとその時少し疲れていて、見た言葉の数々にすーっとした。


・こころが曇ったら、晴れた空や輝く星を見る。
・ひとも自然。すべては関わりあっている。

アリゾナ州北部、彼らの住処。
とても生活には適さない荒野だけれど、その地の眺めはというと
空は何もさえぎるものがなく、ただ高く広くひろがり、
東西南北、大地をすっかり見渡すことができるんだそうだ。
いくつもの天気が、同時発生している大地の風景。
それは『神の大いなる存在』を目の当たりにする光景だろうなと思う。
インディアン達はこの地を、聖なる場所として守り続けるために、ここにいる。


・まっすぐにしゃべれば 光線のようにこころに届く。
同時期に読み始めた、ホピ族の予言についての本とシンクロして
この本でも同じ夜、同じエピソードを読んだ。
ホピ族の長老たちがニューヨークの国連本部へ出向いた時の話。


ホピ族の予言では、世界が壊滅する前兆が9つ伝えられている。
それはぞっとするほど、現実に起きたことにあてはまる。私でも分かるほど。
危機感をもった彼らは、決起して東へ旅立った。
『世界中の指導者たちが集まる、ガラスの雲母でできた家』をたずねて
神の警告を伝えるために。
門前払いこそされなかったけれど、彼らの言葉は聞き流されてしまった。
アリゾナから大都会への長い道、その風景は長老たちの心にどう映ったんだろう。


少し前、国連に関わる仕事をしました。
国連の数々の取り組みの中に、先住民族のことがありました。
「彼らが違和感なく、虐げられることなく、社会に入り込めるように」
と国連は心を砕いている。それはそれで、やさしいなあと思うのだけど
まっすぐにしゃべる人々の話を聞きなさい!
とも、この本を読んで思った。
実はちゃんと届いていたのかもしれない。
でも…きっと世界中の指導者、全員がその場にいなかったんだろう。
どうか、閉じないで。ホピ族、国連の人々。


彼らから遠く遠く、東京のわたしの元に、言葉が届くのは奇跡的だ。
手紙入りの小瓶が、海を渡って着いたような感じだ。
実際は新宿の本屋で手にとって、レジでお会計して持ち帰ったとしてもね
この感じは拭えないや。
・こころからの言葉は書物より尊い


アメリカ・インディアンの書物よりも賢い言葉

アメリカ・インディアンの書物よりも賢い言葉