「熱狂の日」音楽祭@東京国際フォーラム

akk2005-04-29

〜世界各国から1000人以上の音楽家が集い、
 朝から終電までベートーヴェンを奏でる熱狂の日々〜
東京国際フォーラム全館で、なんと3日間で150公演!と
フジロック級の規模で行う、クラシックの一大フェス。
熱狂の日」初日、行ってきました。
何が凄いって、クラシックコンサートが一回1500円の
信じられない価格破壊ぶり。A席だって一万円位するものじゃないですか。
6つのホールで次々と演奏されるのは、全てベートーヴェンと関連の作品。
交響曲からピアノソナタまで、超有名曲だけでなく滅多にやらないレア曲も
あり、音楽家も一流アマチュアごったまぜ!凄い画期的な企画だ。
全館ベートヴェン一色の『音楽の島』。楽しくて子供のように走り回ってきた。


まずホールAで「交響曲第1番」とモーツァルトの「交響曲第41番:ジュピター」
を鑑賞。
単純に、おおっこれは嬉しい!(モーツァルト大好き!ジュピター最高!)
と一挙両得な感覚でチケットを取ったけど、なぜジュピターなんだろう?
モーツァルトの中でも、なぜ晩年のこの曲を?と思っていたら
この組み合わせにはちゃんと意味があった。
ベートヴェンの出発点『第1番』と、モーツァルトの到達点である
最後の交響曲『41番』。
古典派音楽の全盛期、その枠を大きく広げた天才モーツァルトと、
古典派の殻を打ち破り、ロマン派音楽の流れを生みだした革命家ベートーヴェン
古典派の終わりとロマン派の始まりを、耳で体験しようというコンセプトだった。
この考え抜かれたプランニングが、本当に随所にあるイベントなんだ。
1プログラム45分と聞いてたけど、両方とも最終楽章までフル演奏!
1時間半位だった。フランス人指揮者とポーランドのオーケストラの演奏。
気持ちよかった。本当に贅沢だ。



次のプログラムまで時間が空いたので、館内を見て回る。
国際フォーラム名物の屋台村も、今日はドイツワインや名産で花盛り。
野外特設ビジョンでは、過去にフランスのナントで行われた『熱狂の日』の
コンサート映像を流している。屋台でごはんを買って、食べながら見た。


展示ホールでは、物販やナント展、ピアノ展示等が行われているんだけど
ここでは、無料でアマチュアオーケストラの演奏が聴ける。
という事で覗いてみると、ちょうど「フィデリオ」の序曲が始まった。
ぐるっとステージを囲むように椅子が並び、ほぼ満席。
ここは休憩コーナーがあって、そこでお弁当食べながらの鑑賞もできる。
親子連れの姿が目立った。休憩しながら生演奏を見られるって親切だな。

演奏はちょうど45分で終わり、ホールを出るとベートーヴェン展が。
パネル展示とはいえ、ベートーヴェン直筆楽譜や肖像画などを見ると
ちょっと感動。ここも大型モニターで、過去の演奏風景が流れていた。
あっという間に次のプログラムの時間になる。


次はホールCで、トウキョウ・モーツァルト・プレイヤーズ演奏の
「プロメテウスの創造物」を鑑賞。
ベートーヴェンバレエ音楽、初めて聴きました。そんな音楽を作ってたんだ
と意外な感じがしたけど、体験してみたら何の違和感もなくすっと入ってきた。
私には未知のベートーヴェンサウンドがいっぱいあるけれど、何にしても
一人の人から生まれた音楽は同じ匂いがするものだ。
多様な楽器編成とジャンル、クラシックはそれぞれの格式が特別強く存在する。
昔の音楽をすべてクラシックとして括っているんだから当たり前なんだけど
今でいえば、ボサノバとジャズとロックを一人の作曲家がやってるのと同じだ。
そう考えると、改めて凄い才能の人達だったんだ、と驚かずにいられない。


…なんてこっそり熱くなりつつ、「ベートーヴェン市場」に立ち寄る。
ベートーベンフィギュア(315円の可愛いやつ)と文庫本と、CDを数枚。
ドイツ名産品やガチャガチャもあって、本当に市場みたい。
子供むけのコーナーもあり『作曲家スタンプラリー』や『ベートーベン似顔絵』
『記念写真パネル』など、遊び心いっぱいだった。
しかし子供が多いな…と思ったら、子供用チケットが販売されていたんですね。


そういえば私も、小さい頃はピアノを習っていたし、クラシックを沢山聴いて
育った。小学校の音楽室にはしかめっ面のベートーヴェンや、やさしそうな
モーツァルトがいた。初めて買ったレコードはビゼーの歌劇『カルメン』だった。
名曲アルバムが大好きで、ビデオがすりきれるほどずっと見ていた。
それは、今の自分にどんな影響をしているんだろう。
こんな素敵な機会に恵まれた子供達、お姉さんは説明できないけど、
きみたちにとって、絶対いい体験になるはずだよ。まちがいないよ。


まるでクラシックのアミューズメントパークのようだった。
クラシック音楽を身近に体験させる、その徹底ぶりに感銘を受けました。
これから先、毎年やってほしいです。
難を一つだけ言えば、チケット売り場の行列…。
当日買えばいいや、と思っていたものも、あの大行列では断念。
映画館のようにバンバンさばけるようになれば、いいのにな。
明日、あさって行く人は、そのへん覚悟ですよ!チケットは当日もぴあで
買えるから、家の近所で買ってから行きましょう。


熱狂の日」HP→ http://www.t-i-forum.co.jp/lfj/index.html