Open Nature|情報としての自然が開くもの@ICC
昨日から始まったICCの「Open Nature」展へ。
きょうは14時からアーティスト・トークがある。
それを目指して行きました。GWだけあって混んでる。
サブタイトルが示しているように、この展覧会は、
情報が行きかう現在における、テクノロジーと自然とのつながりかたを
アートの視点で表現したら、という内容。
〜Open Nature〜なんてタイトルだけ聞くと、流木なんかで作られたアートとか
そういう『母なる自然のアート』を想像しちゃうけど、会場はデジタル一色。
デジタル環境が日常にあり、より深く広く進んでいくなかで、
人と自然の関係もどんどん進化している。
それは情報技術や『サイエンステクノロジーと自然』といった科学の観点だけど
科学を科学のみにせず、芸術にしようという発想はとても人間的で素敵だ。
作品の中でも完全にやられてしまったのが、
マルコ・ベリハンの「スペクトラル・システムTYO ON2005」と
カールステン・ニコライの「Spray」。
繋がるように展示されているこの2つの作品は、ほぼ延長線上にあるような関係で
ニコライの「Spray」は二人の対話から導き出された作品だそうだ。
「スペクトラル・システム」はもともと軍用だったシステムを応用したもので
無人飛行機で地形や気象といった地上の状況を情報化するプロジェクトの展示。
東京の空港(羽田?)を基点に測定するシュミレーションを、データや衛星写真を
シンクロさせて見せている。
1mほどの小さな飛行機が吊るされていて、これが実物らしい。
そしてニコライの「Spray」はレーダーに感知されず、情報的には存在しない筈の
戦闘機を抽象化したインスタレーション。
黒い画面に白いドットが散りばめられ、様々な形を作り出しては消えていく。
視覚と聴覚から同時に、鉄のように硬質な抽象物が襲いかかってくるのです。
映像+音ではなく、そこにあるのは視覚+聴覚。物凄い。圧巻でした。
なぜこのノイズの集合体がこんなに気持ちいいのかな。ずっと居たかったぐらいだ。
他にも、メコン川の風景をデジタルフィルターで完全にテクスチャー化した
「Flatland」は、デジタルなのにとても暖かくやわらかかったし
天文台が受信する天体からの信号を、音に変換してリアルタイムでオンエアする
「ラジオ・アストロノミー」では、木星の音(!)を聞いた。
ごわんごわん低音がうなっていたと思うと、超音波のような高い音が鳴り始める。
自然はデジタルを通ると、その変幻するさまが、目でみるよりもはっきり見える。
アーティスト・トークではマルコ・ベリハンとカールステン・ニコライが登場。
ベリハンは作品について、軍事産業の技術が民間に転化されるようになった現状と
これをアートに出来ないか、という模索をしていたという。
この作品は科学者とアーティストの共同研究。展示作品は現在形にすぎない。
ベリハンは最近、軍事大国の技術協力を目指してアメリカに移住したらしい。
でもアメリカは、ディズニーとエンターテイメントが芸術だと思う国だから、
自分の芸術をなかなか理解してもらえない、と話していた。
今年の夏、この無人飛行機がネバダ州で試験飛行を行うそうだ。
インディアンがその風景を、善きものとして見てくれるといいな、と思った。
『Open Nature|情報としての自然が開くもの』展
→http://www.ntticc.or.jp/Schedule/2005/Opennature/index_j.html