ユーリ・ノルシュテイン短編集

会社の同僚が、ユーリ・ノルシュテインのDVDを貸してくれた。
実は大ファンと知って、案外ノルシュテインのファンって多いのか
それともたまたま、そんな人と付き合いがあるだけなのか・・・?
その人は、ラピュタ阿佐ヶ谷で開催していたワークショップにも
参加したという強者。 身近に参加者がいたとは驚きです。


という訳で早速。久しぶりに見ました。
短編集で、初めて見る作品もいくつかあった。
紙芝居世界が動くような「狐とウサギ」や、素晴らしくドリーミーな
「愛しの青いワニ」などは、おとぎ話のような映像で参ってしまった。
そしてその世界の中で、語られる物語について。


印象が薄かった「あおさぎと鶴」。 ロシア民話が原作のこのお話、
実は歴史に残る最高ラブストーリーだった!と見直して分かった。
恋に浮き立つ男女を皮肉ってるのだと思っていたけど、違う違う!
そんなこと思った私若すぎ! (まあ高校生だったし)
恋だか愛だかなんかよくわかんない魔法の瞬間と、それを体験しても
まだ行ったり来たりしているあおさぎと鶴は、ただ不器用なんじゃない。
それは神に選ばれし他人の二人が、どこまで行っても一つになることはなく
ただ蝶々みたいに、ふわふわ近くを飛んでるようなものだと。
だからいつ離れてもいいし、離れなくてもいい。
それがノルシュテインの見せたかった、世界一素直なラブストーリーだった。
私はそう感じた。どんな感動熱愛映画よりも単純で、本質的だって。


こう書いたって伝わらない、これは映像だから、体験しなきゃわかんない。
世紀の大傑作「話の話」もそうだけど、あの人の表現って五感に直接響いて、
そして六感で理解する。いや、六感が勝手に動いて伝えてくる。
それがノルシュテインの伝えたいことかは分からないけど、
ただ、受け取ってしまうんだ。 すごいと思う。


それはようするに 天才ってことだな・・・未見の人はぜひどうぞ。
ディスクの盤面にはあの、縄跳びする切ない牛が!!!

ユーリ・ノルシュテイン作品集 [DVD]

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