仲良し5人組の憂鬱

ドイツ在住の友人が帰国中ってことで、みんなで集まる。
中学から始まり、もうすぐ「知り合って20周年」を迎えてしまうこの仲良し5人組は
たぶん傍目からみたら、バッラバラ。性格も仕事も服装も、てんでまとまりがない。
普段しょっちゅうつるんでるわけでもないし、だいたい5人中2人は海外暮らしだ。
みんな好き勝手に生きていて、たまにどこかで集まってわらう。
こんな統一感のない5人の女が、性的嗜好の話などで爆笑してるのはどうなのか?
20年たっても、電車の中でうるさいと苦情がくる元女学生は、井の頭線でも銀座でも
おかまいなし。女子校育ちの性だね。


「恋とかもう、これからは打算がいいと思うのよ。
私好きなのかしらとか、この人と付き合ってどうとか考えるの、もうイヤでさ」
友人は近況報告もなにもすっとばして、いきなりこんなことを言い出した。
ああ、わかるわかる、めんどうだねえ。でもどうしたのアノ人は?
う〜ん・・・それがねえ。
どうしたことか、みんな恋愛に関しての話になると、さえない顔。
聞くと確かに、珍しく景気の悪い話ばっかりだ。たまたま?でも。
こんがらがってもがいて疲れた、そんな感じ。31歳、来年厄年、そんな歳?
みんな疲れてるだけだって!やっぱり恋はピュアにさあ・・・
と励ますように言ってみても、ぴしゃり!
「なにいってるの、私達ずっとピュアにきて、こうなってるんじゃない!」
そうだねえ。。なんで私いつもこうなっちゃうの、とか思うよね確かにね。
そりゃ流れが変わったらいいけど、打算て、どうやればいいの?


・・・とりあえずみんなで集団お見合い 一回めで決定 断り禁止
これでいいんじゃない?


打算だねえ〜!


彼女が打算なんていう器用なこと出来るわけなくて、ただ今のままじゃマズイって
意識しなきゃいけないと切実に思ってるだけだ。彼女の傷は深い。
その前にあった幸せも、同じくらい深い。
失恋して世界が壊れる、なんてことがいくらあっても、なんとか乗り越えてきちゃってて
しかもまた懲りずに恋におちてしまう。また夢中になっちゃう。
時間はかまわず過ぎていく。みんな子供を生みたいし、体は衰える。
また大きな傷で血涙を流す?不安だらけだ31歳、大丈夫、傷は治る。
ブルースは「辛すぎて笑っちゃう」んだって、ピーターバラカンが言ってたよ。
だから雨が降ったら、とりあえずわらって。その話をしよう。
それで、関係ない話をしよう。友人ができることなんてそれだけだ。
闇から陽のあたる場所へひっぱりだす、そうやって私達はいつもわらっている。


我々の子供でサッカーチームを作る話を、そろそろ現実的にしないと・・・
といって結局、来年のワールドカップinドイツを観にいく計画へ話が移行していき
打算のダの字も忘れたころ銀座駅に入ると、「二キータ」誌の強烈な広告が・・・


〜いま私たちに必要なのは 若さでなくテクニック〜


打算だねえ〜!これが打算だよ!
でさ、テクニックって何?
・・・なんか打算て、けっこう疲れそうだね。
とやっぱり出来そうにないピュアな元女学生達は、またそれぞれの空へ飛んでいった。
今度会うときは、みんな景気のいい話ができるといいね!
むりかなあ!?


<仲良し5人組 思い出の1枚>

Steel Wheels

Steel Wheels

↑このアルバムが出たころ、ローリングストーンズが初来日。
我々女子高生5人は熱狂して、みんなで宿泊先だというホテルオークラに電話した。
緊張して「一番高い部屋は空いてますか?」という、訳の分からない質問をして
オークラの人を絶句させた覚えがある(笑)しかしなんであんな電話かけたんだろう?