MTV前夜の実験映画と現代音楽の出会い@イメージフォーラム

MTV世代は必ずひっかかるだろう、この魅惑的な企画上映
アメリカは待っている MTV前夜の実験映画と現代音楽の出会い」行ってきました。
上映内容はこちら↓
http://www.imageforum.co.jp/cinematheque/877/index.html


これ、なかなかバランスの良い、面白い上映でした。
ビジュアルショックに目が肥えていて、音楽と映像のシンクロ率にも直感的に
反応する新旧MTV世代のアナタ、こいつはお勧めですゼ。
あの80年代に始まった、ミュージックビデオによるプロモーション合戦。
ビジュアルショックと音の映像化を追い求めて、実験精神が一気にエスカレートした時代。
ピーターガブリエルの「スレッジハンマー」やa-haの「テイク・オン・ミー」等々、
今観ても強烈なMTVクラシックス、あれは実験映画だ。産業ベースで実験映画を作れちゃってる。
今日のPVやCMにみられる美意識を先取りした音楽と映像の実験は、
昔の実験映画の中にありました、ということで。
まず「コリドー」凄かったです。HPには解説文も何もないんだけど、これ思いっきり
クリス・カニンガムファンはど真ん中のはず。っていうか観なさい!ぜひ!
舞台は薄暗い回廊、そこに全裸の女性が立っているだけなんだけど、それで24分間。
多重露光、走る明滅、ざらざらになって溶けていく闇と光。
もう音と映像の構成が素晴らしくて、寸分足りとも飽きないのです。
この高速カッティングが、35年前にか・・・と思うと。すごいよ。
「アスパラガス」は強烈なアートアニメーション。ブラックで魅惑的すぎる、夢の絵世界に
いきなりクレイアニメが混入してきたりと・・・作品としてむちゃくちゃ凄いんだけど
音楽が狂言回しをしている、というシンクロのしかたで。ぴったりなサントラっていうより
カッツィ三部作のような在り方に近いかな。絵と音が同時進行している。
これね、っていうか全部だけど、イメージフォーラムでしか観られないと思うんで
ぜひアートアニメ好きも観てください。間違いないです。最高です。
「遠くを見れない男」は、実にイメージフォーラムらしい私的実験映画。
遠くを見たくて、大きなつり橋のてっぺん目指して登っていく、カメラを持った男。
高所恐怖症の方にはホラーに映るだろう壮絶な映像は、何だかとても物悲しくて
センチメンタルで、その果てに流れるオーネット・コールマンの音楽が
この映画のすべてを表している・・・そういうシンクロのしかたで。
音楽が流れるとき、橋の大俯瞰が映っている、それだけ。なのに涙が出る。
そうだな、これはREMの白黒フィルムが好きな人には分かってもらえるかもな。と思った。
ブルース・コナーの3本は、既存のフィルムのコラージュ。VJや映像のリミックスに目が
慣れてる今じゃ、そんなに衝撃もない感じだけど・・・元祖はこの人の実験だったのか、
という感慨と、DEVOやデヴィッドバーン&ブライアンイーノの音が凄いモノラル化されて
いる音響的世界観の演出がなかなかおつでした。


来週の日曜も上映あるから、気になる方はぜひどうぞ。900円以上の体験は保障するよ。

My Life in the Bush of Ghosts

My Life in the Bush of Ghosts

ブルース・コナーの「アメリカは待っている」で流れるのは↑これの一曲め
なんか最近、ブライアンイーノの周りをくるくる回ってる気がするなあ・・・。