アートサーカス!横浜トリエンナーレ2005
ぼやぼやしてたら、明日まで!
てことで今日は、9月末から開催中の『横浜トリエンナーレ2005』へ。
今回の会場は、山下ふ頭の倉庫2棟です。
山下公園から送迎バスに乗ると、思いきり営業中の倉庫群のなかを通っていきます。
なんか久しぶりだな、こういう風景みるの。ぶっきらぼうでざらっとした、独特な空気。
ここを会場に選んだことが、今回のトリエンナーレのすべてを表しているようだ。
前回のパシフィコ横浜や赤レンガ倉庫よりも愛想がなくて、上品でもない『路上』な感じ。
アートサーカス〜日常からの跳躍〜という副題は、音楽で言ったら『ダンシング・イン・
ザ・ストリート』にそのまま当てはまる感覚。現代美術をそんな風にみせるのは本当に
ぴったりで、実際にトリエンナーレは街中にもアートをちりばめて展示しているけれど、
メイン会場のここ!がすでにそんな雰囲気なんです。
バスを降りてうわぁ!これは〜いい!と、その無愛想ぶりにわくわくしました。
前回のオノヨーコや草間弥生のような大スターや、巨大バッタみたいな目玉作品が
ないことについて、総合ディレクターの川俣正さんはこう言った。
「そういうのに興味がないんですよ。目玉はいらない。」
か、かっこい〜い!男だねぇ〜川俣氏。だからきっと会場もここになったんだね。
そんな訳で、広い倉庫の路上につくられた美術で遊ぼう。
まず印象的だったのが、インターナショナル感というのかな?万国博覧会に近いアプローチ
で、国単位の特集展示が多かったところ。
アジアやアラブ諸国のアーチストが集まって、宗教やジェンダー差別の問題をアートで
表現する「フライングサーカスプロジェクト」や、中国のアーチストのグループ展示
「中華街プロジェクト」。孫文と毛沢東の絵画の上に、黒人の活動家が話す映像が流れる
ビデオインスタレーションは、かなり興味深かった。ブラックパンサーの一員が、毛沢東
をお手本にしよう、と毛沢東の革命的偉業について熱く語っている・・・という映像で。
私は音声ガイドを借りて、聴きながら観ていたんだけど、ガイドで作者が
『中華街はどこにでもある。物質的にも精神的にも、世界中に広がっているんです』と
話していた。寒さに負けて、帰りに中華街に寄らなかったこと、今でも悔やんでます・・・。
バンコクの路地裏がそのまま持ちこまれたような「ソイ・プロジェクト」は
タイの妙なテンションと活気がムンムンでした。いやほんと、ちょっとした万博だなあ。
はじめに場所について書いたけれど、今回の展示で目立ったのは
場にインスパイアされて作った、という作品の多いこと!
クレイグ・ウォルシュは、倉庫のシャッターを半分空けて、そこにスクリーンを設置して
映像を流していた。しかもこれ、チケット売り場にある『会場模型』の中に仕込まれた
小型カメラのライブ映像!てことは覗き込んだ私の顔がその時、巨人のようにここに映って
いたのかい?と思いつつ観てると、たまに覗き込む人の顔が・・・。面白かったです。
ビデオアーチストの多くは、横浜の街中や東横線内、ふ頭でロケした作品だったし
倉庫の隙間をわざと使った屋代敏博の『回転回〜すべては消滅し再生する』(←このタイトル
好きです)は、倉庫の隙間の一角に、携帯電話やデジカメを三脚で乱雑に立ててある。
その画面に映るムービーには、手前のカメラとか見切れてるんだけど、その奥に、
いるはずのない『全身タイツで回転する人』が映っている!誰なのあなたは!何よ??
うつ伏せで宙に浮いて、くるくると、右に左に回転しているのです!
ムービーの音声は「右回転、右回転、右回転・・・」「左回転、左回転、左回転・・・」
これが場内の隙間にいくつも点在しているから、そのしつこさもあいまって
モンティパイソンファンの私はもう、はまっちゃって大変でした。
回転してるのは屋代さん本人で、持論は「複雑な何もかも、回せばすべて丸くなる」そうです。
さて、混みすぎて観られなかった高嶺格とピュ〜ぴるを除き、一通り場内を巡って
そろそろ今回のナンバーワン作品を・・・それはやっぱり奈良美智+grafの『A to Z』!
奈良さんの作業机、海の見える落書きだらけのデッキ、奈良さんのイラストの模倣が壁中に
張られた部屋、犬がいるコンテナ、そして奈良さんの凄すぎる絵画が飾られた部屋。
『A to Z』は小屋でした。大きな奈良さんの小屋。住みたいね〜こんなところ。
静謐と乾いた空気と、雑然とした美意識と。そのバランス、本当に気持ち良くって
最高でした。一度離れてまた戻って、結局3回も観にいっちゃった。あほみたいだけど、
もう今日しか無いと思ってさ!
てことで、今日は『奈良さんの作業机』でかかっていた↓これ!
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実に奈良さんらしくて、惚れ直しました!いぇい!