アートサーカス!横浜トリエンナーレ2005

akk2005-12-17

ぼやぼやしてたら、明日まで!
てことで今日は、9月末から開催中の『横浜トリエンナーレ2005』へ。
今回の会場は、山下ふ頭の倉庫2棟です。
山下公園から送迎バスに乗ると、思いきり営業中の倉庫群のなかを通っていきます。
なんか久しぶりだな、こういう風景みるの。ぶっきらぼうでざらっとした、独特な空気。
ここを会場に選んだことが、今回のトリエンナーレのすべてを表しているようだ。
前回のパシフィコ横浜や赤レンガ倉庫よりも愛想がなくて、上品でもない『路上』な感じ。
アートサーカス〜日常からの跳躍〜という副題は、音楽で言ったら『ダンシング・イン・
ザ・ストリート』にそのまま当てはまる感覚。現代美術をそんな風にみせるのは本当に
ぴったりで、実際にトリエンナーレは街中にもアートをちりばめて展示しているけれど、
メイン会場のここ!がすでにそんな雰囲気なんです。
バスを降りてうわぁ!これは〜いい!と、その無愛想ぶりにわくわくしました。
前回のオノヨーコや草間弥生のような大スターや、巨大バッタみたいな目玉作品が
ないことについて、総合ディレクターの川俣正さんはこう言った。
「そういうのに興味がないんですよ。目玉はいらない。」
か、かっこい〜い!男だねぇ〜川俣氏。だからきっと会場もここになったんだね。


そんな訳で、広い倉庫の路上につくられた美術で遊ぼう。
まず印象的だったのが、インターナショナル感というのかな?万国博覧会に近いアプローチ
で、国単位の特集展示が多かったところ。
アジアやアラブ諸国のアーチストが集まって、宗教やジェンダー差別の問題をアートで
表現する「フライングサーカスプロジェクト」や、中国のアーチストのグループ展示
「中華街プロジェクト」。孫文毛沢東の絵画の上に、黒人の活動家が話す映像が流れる
ビデオインスタレーションは、かなり興味深かった。ブラックパンサーの一員が、毛沢東
をお手本にしよう、と毛沢東の革命的偉業について熱く語っている・・・という映像で。
私は音声ガイドを借りて、聴きながら観ていたんだけど、ガイドで作者が
『中華街はどこにでもある。物質的にも精神的にも、世界中に広がっているんです』と
話していた。寒さに負けて、帰りに中華街に寄らなかったこと、今でも悔やんでます・・・。
バンコクの路地裏がそのまま持ちこまれたような「ソイ・プロジェクト」は
タイの妙なテンションと活気がムンムンでした。いやほんと、ちょっとした万博だなあ。


はじめに場所について書いたけれど、今回の展示で目立ったのは
場にインスパイアされて作った、という作品の多いこと!
クレイグ・ウォルシュは、倉庫のシャッターを半分空けて、そこにスクリーンを設置して
映像を流していた。しかもこれ、チケット売り場にある『会場模型』の中に仕込まれた
小型カメラのライブ映像!てことは覗き込んだ私の顔がその時、巨人のようにここに映って
いたのかい?と思いつつ観てると、たまに覗き込む人の顔が・・・。面白かったです。
ビデオアーチストの多くは、横浜の街中や東横線内、ふ頭でロケした作品だったし
倉庫の隙間をわざと使った屋代敏博の『回転回〜すべては消滅し再生する』(←このタイトル
好きです)は、倉庫の隙間の一角に、携帯電話やデジカメを三脚で乱雑に立ててある。
その画面に映るムービーには、手前のカメラとか見切れてるんだけど、その奥に、
いるはずのない『全身タイツで回転する人』が映っている!誰なのあなたは!何よ??
うつ伏せで宙に浮いて、くるくると、右に左に回転しているのです!
ムービーの音声は「右回転、右回転、右回転・・・」「左回転、左回転、左回転・・・」
これが場内の隙間にいくつも点在しているから、そのしつこさもあいまって
モンティパイソンファンの私はもう、はまっちゃって大変でした。
回転してるのは屋代さん本人で、持論は「複雑な何もかも、回せばすべて丸くなる」そうです。


さて、混みすぎて観られなかった高嶺格とピュ〜ぴるを除き、一通り場内を巡って
そろそろ今回のナンバーワン作品を・・・それはやっぱり奈良美智grafの『A to Z』!
奈良さんの作業机、海の見える落書きだらけのデッキ、奈良さんのイラストの模倣が壁中に
張られた部屋、犬がいるコンテナ、そして奈良さんの凄すぎる絵画が飾られた部屋。
『A to Z』は小屋でした。大きな奈良さんの小屋。住みたいね〜こんなところ。
静謐と乾いた空気と、雑然とした美意識と。そのバランス、本当に気持ち良くって
最高でした。一度離れてまた戻って、結局3回も観にいっちゃった。あほみたいだけど、
もう今日しか無いと思ってさ!


てことで、今日は『奈良さんの作業机』でかかっていた↓これ!

England's Newest Hit Makers: Rolling Stones

England's Newest Hit Makers: Rolling Stones

奈良さんの手書きで、この空間とストーンズの音楽についてのコメントが貼ってありました。
実に奈良さんらしくて、惚れ直しました!いぇい!