ラブレター・トゥ・能登

akk2006-02-01

能登半島より無事生還しました。
生還・・・というのは、実は今夜の関東地方の地震があったとき、
私はちょうど、飛行機の中にいたんです。
通常なら1時間で着く小松→羽田間なのに、天候不良と地震のせいでなんと2時間!
飛行機は空港に降りれず、まる1時間空の上を旋回してたってわけ。
機体は強風でガンガン揺れまくるし、もうどうしようかと思った。
帰りの電車も地震のあおりをくって、帰宅できたのは0時前でした。
そんな訳で、もうすっかり遠い記憶になりつつある能登半島ロケの記録です。


朝、起きたらやっぱり雨だった。
撮影隊と合流して、いざ能登半島へ。きょうは半島の中腹にある、和倉温泉の取材です。
けっこうひどい雨だなあ・・・やめ!と祈りつつ眠って、目が覚めると雪!ていうか吹雪!
景色はひたすら山と海、そして吹雪の三つ巴。
早くも(こんな所まできちゃって、今日は無事に帰れるだろうか)と途方にくれる。
取材先の旅館から言われた『もし帰れなかったらお部屋をご用意しますよ』がぐるぐる回る。
和倉温泉に到着すると、その思いは一層強まった。海沿いの温泉郷だ、かなりぐっとくる。
ひなびた感とロケーションの美しさ。ここまで来たら、なんかもう泊まりたいかも・・・。
雪の中、温泉の誘惑と闘いながら歩き、加賀屋へ。創業100年の老舗、北陸を代表する高名な温泉宿です。
これはすごい!超一流の旅館てこういうのを言うんだな。
千と千尋」の湯やをそっくり実写にしたような構造で、緻密に細部まで描き込まれたような美しさ。
好みを超越した完璧さなんだ。ディテールも全体も隙がない。見れば見るほど圧倒されてしまう。
底値でも一泊一人5万〜という価格設定も、この宿とお食事じゃ納得だ。
天皇一家も全員泊まりにきていて、パネルが飾ってあった。


こんな雪なのにお客さんが続々と到着する。
和倉温泉は熱いんだって。だから湯冷めしにくいし、冬の露天風呂には最高らしい。
露天風呂つきのお部屋や、海と地続きに感じるような温泉を紹介されて、
い い な あ〜〜〜〜〜!
ここまで来てしまうと、もう外に観光する場所も無いし、宿でゆっくり過ごしたい。
その宿が景色も居心地も良い空間で、いいもてなしを受けられたら、それだけで最高の旅になるよな。


旅と観光について、この仕事が始まってからよく考える。
昨日は金沢で個人タクシーの運転手と出会った。
世間話をしつつも、すらすらと名所や金沢らしさのお話をするのが面白くて、
金沢での足は全部その人にお願いした。
きけばその人は観光業もやっていて、タクシー付きのガイドさんでもあった。
観光客は今じゃ、付加価値が多くなきゃ来ないって話してて。
その土地の気候や特産物や施設、歴史、そして街の空気がかみ合うイメージを考えて
イベントや新しい施設を作っていく。お客さんは演出家だからわかるでしょ、観光も演出。切り口が大事。
でもいくら新しい名物を作っても、その土地に合わなきゃ付け焼刃でね。観光客はそれをすぐ見抜くんです。
結局、いかにこの街を愛してもらえるか、最後はそこなんですけど。恋なんかそうでしょ、
自分をよく見せようって頑張って無理してもしょうがない。自分と相手をよく見て、自分自身を
活かせないとね、結局長続きしないから。観光も同じことなんですよ。


とりあえず私は、観光地と観光客の恋がうまくいくように、外側から応援することにしよう、と思った。
それできょうは、その恋がずいぶんうまくいっている旅館に行ったってわけね。
ああ、しかし。観光客として強く思った。やっぱり今夜は泊まるべきだった・・・。
いつかお金持ちになったら、また来よう。宝くじが当たったら?競馬で儲けたら!
帰り道、スタッフ全員がそう言っていたのが印象的でした。