Today#14 ガルシア=マルケス=勝井祐二

今、ガブリエル・ガルシア=マルケスの『百年の孤独』を読んでいます。
いやもう、凄い。この本凄い。面白すぎる。何もかも地に足がついているのに、完全に空を舞っている。
非現実的風景が、現実世界の中に普通に現れては通り過ぎていく、ソクーロフの『エルミタージュ幻想
のような輪舞の年代記に、もう大熱狂中です。
登場人物が踊る輪舞は、一定の流暢なリズムじゃなくて、プログレで踊ってる。入り組んで整列した運命のリズムは
ものすごい速さだったり、止まりそうに微かなものだったり。それで根底に流れるドライブ感、こりゃなんだ!?
ノーベル文学賞なんて、いいの!?こんなぶっとんだ作品に?
受賞の理由はこうですって。
「現実的なものと幻想的なものを結び合わせて、一つの大陸の生と葛藤の実相を反映する、
豊かな想像の世界」を創り出したこと。
ノーベル バンザイ。


あっという間に半分まで来てしまった。
これを読みはじめると、感覚が取り付かれて音も何も聞こえなくなるようで
音楽を聴かなかった。そぐうものもなくて、それなら無音でよい。
それでも、呼び寄せるものはあるんだな。自然と。
今夜、ROVO勝井祐二山本精一&アルゼンチン音響派のセッション盤
「Chichipio」を聴きながら『百年の孤独』を読んだら、むちゃくちゃ凄いシンクロ率が発生しました!
無意識だったんだけど、このブエノスアイレスセッションとコロンビアの非現実、
どちらもラテンアメリカの光と影から生まれた芸術品で。
私は勝井さんのヴァイオリンが心底好きなんですが、あの人が奏でるありえない勝井音階、
あれは、ガルシア=マルケス世界のありえなさにとても似ていると思ったのよ。
勝井さんの音の不思議さって、山田勇男の映画伴奏で出会ったからか、どうしても宮沢賢治や北の果てといった
極北の印象が強烈だったんだけど、それは景色の話。世界観でいうと、こうだ!ぴったりきたよ!
ガルシア=マルケス勝井祐二


このアルバムね、勝井さんだけじゃなくて本当にすっばらしいセッション盤で、もうなんか
音響派とか敬遠する人にも無理やり聴かせて、黙ってうなずき合いたいほどの名盤。
何もかも地に足がついているのに、完全に空を舞っている。
ああ、やっぱり同じだ。

Buenos Aires Session Vol.#1 Chichipio

Buenos Aires Session Vol.#1 Chichipio