Today#63 トリツカレ男

いしいしんじの「トリツカレ男」を読みました。
今日買って、一日で読み終わるなんて、私にしちゃ奇跡的な速さです。
すばらしかった。泣いた、泣いた、もうたいへん。
帯いきます。
―この世でいちばん
 ペチカをおもってるのは
 トリツカレ男のジュゼッペ、
 このおれなんだ
 せつなくまぶしい、まじりけなしのラブストーリー!
おおっ!いしいしんじがラブストーリーとは、これは凄いことになってそうだな!
と、ピュアどころの騒ぎじゃない、こりゃあ本質だけで展開する物語だろうと予想しました。
果たしてその通りでしたが、こんな!こんなにも!うわ〜凄い、本当にまじりけなし!
何かに夢中になると、とことん取り付かれてしまうトリツカレ男が、
一人の少女に取り付かれて(恋して)しまいました。というお話。
いしいさん独特の、童話のような素直さと、ねじれっ子のシニカルさが同居した語り口で
ばかみたいに純粋で単純なラブストーリーを語ります。
いしいしんじの語りかた、大好きです。この人嘘がつけない人だとおもう。
本当に思ったことしかしゃべれない人。
しみるよ。今恋で悩んでるような人は、これ読んだら肩の力が抜けて暖かくなるだろうし
幸福な恋をしている人は、今すぐ恋人の顔をみたくなるだろうし、
特に何も・・・って人は、今後恋したとき、自分がジュゼッペみたいになってるかも、なんて笑っちゃうだろうね。
独特だけど、普遍的な物語。この感情を体験しない人なんて居ない。
ひまな一日があったら、読んでみてください。

トリツカレ男 (新潮文庫)

トリツカレ男 (新潮文庫)