Today#74 ぺしゃんこの夜のための覚書

今日は心がぺしゃんこになってしまった。空気の抜ける音がスースーきこえる。
アメリ』は何とも言いがたい映画だけど、アメリさんが水のように崩れるカットは
今夜とても共感できる。あなたがもしも、ああなってしまった夜のために、覚書。


映画を観る?
『昨日はなかった小さな切り傷』というキャッチフレーズで公開された映画があります。
ロバート・アルトマンの「Short Cuts」
レイモンドカーヴァーの短編集を幾つか映画にしたもので、だからShort Cutsだと思って
いたのに、小さな切り傷 なんて意味だったとは。
そのとき切り傷だらけだったから、天啓を受けたように映画館へ走った。
あの作品を見た人の意見は、ラストでぱっきり賛否両論していて、どん引きか万歳三唱。
私はバンザイ派だった。アハハ、なんてことだ。と笑い泣き。
あなたにどれだけ傷があろうが、なかろうが、地球は回るのさ。我々はその上で生きてる。
傷はどうなる? どうにかなるんだよ。
こんな夜の映画、私からはこれと、マイケルウィンターボトムの「ひかりのまち」と
ウォンカーウァイの「ブエノスアイレス」 私と似たところありそうな人はご参考に。


あの映画でアルトマンが私に教えてくれたのは、世界の『レクリエーション』
Recreationは遊びのことをさす英単語だけれど、その本来の意味は
Re-Creation(つくりなおす)ってことだといいます。
デミセミクエーバーという素晴らしいバンドの曲に、そういう歌がある。
つぶれてぺしゃんこになって、そこから這い上がるとき、この歌は
魂に強引に灯油をぶっかけて、火をつける。ゾンビみたいに起き上がれ、
ウェイクアップ、ゾンビ、そのうちこの歌が終わったら人間になるから問題ない。
あら本当だ、終わったら人間になっている。ありがとう音楽。頼ってばかりだ。ありがとう。
高熱を36度まで急激に下げる注射を打ちたいときは、これを聴くといいよ。

青空

青空

夜の音楽の話
以前、やはり同じような夜、たまたま友人の音効さんから電話があった。
そこで私はプロに、こんな時に回復できる音楽はなに、と聞いてみた。まだ22時、
今からタワーレコードへ行けば間に合うから。
疲れてる? うん疲れてるね、消耗している。顔がうまく笑わないんだよ。まずいと思う。
そりゃあ・・・まずいね。とりあえず酒でも飲みながら聴きな。
そういって勧められた音楽に、今夜また。久し振りに聴いた。酒は飲まなくてもよい。
さすがプロの選定、これは誰にでもお勧めできる。Gラブのアルバムです。どうか気楽に、勝手に生きて。
Yeah It's That Easy

Yeah It's That Easy

ぺしゃんこになるのはいい機会で、何がどうかっていうと、
復活するときに新しい形になるからだ。空気の抜けたボールも、圧縮されたふとんも、あなたも。
わかるかな?同じ形にはならないんだ。
だいたいのところ、ご飯と音楽とサムシングを食べて寝ればなおる。
おやすみなさい、眠って溶けて。


あっそうだ 寝る前にモンティパイソンみよっと。実はこれが一番効果的だったりして(笑)