Today#83 戸惑いも迷いもなくなった本の話

3月の今頃、私は戸惑う本の話を書きました。
ここ2ヶ月の間に、自分になにがあったか分からないけれど
百年の孤独のあと、すっぽり手元に入ってきた、誰かのつぶやきの連鎖。
きのうぐらいから、ふいに「アメリカの鱒釣り」と仲良くなってきた。
もう、そろそろこの本の終わりも近づいてきたというのに。


思いでの断片をコラージュしているような文章だ、実体がないの。だから、
これは、映像にしちゃいけない、文字の集まりだな
と思っている。
視覚化したら全部違ってきてしまうから、
音楽化すらあやしいものだよ。この本に聴こえる音楽ってなんだろうか。
これの実体は、本当に、本でしかない気がしてならないよ。
読んで、もんやりと心に浮かぶ(風景など具体的なものじゃなく)ただの気持ちが現れて
その、雲みたいな、つかみどころのない、形の定まらないものが「アメリカの鱒釣り」だと思う。
たぶん読む時々によって、それは変わるだろうし、
時間が流れて、誰かと交わした言葉やみたもの、体験、心が感じたことが
アメリカの鱒釣り」にダイレクトに作用するはずだ、まるでリトマス試験紙みたいにね、
はっきり、変わるだろうとおもう。
こんな本に、出会ったのは初めてのこと。


それでは、最近やっと「アメリカの鱒釣り」となかよくなったというのは
どういうことかな。
今夜はそればかり考えている、かんがえながら寝ようと思う。
答えなど無いかもしれないし、そんなもの分かってるかもしれない、うっすら浮かぶ色々な空気。
こんなこと考えて寝るよりも、本の続きを読むべきだって?
いやいや、まだもうちょっと読み終わりたくないんだ。