Today#111 ローズ・イン・タイドランド

テリー・ギリアムの「ローズ・イン・タイドランド」観てきました@恵比寿ガーデンシネマ
私はこの新作について、とても曖昧な情報しか得ていませんでした。
即ち『ギリアム版・不思議の国のアリス』だという話。そりゃあもうワクワクでした。
それにしてもこの、直訳のつまんない邦題はなんだ。そしてR-15指定ってどゆことだ。
見てみて仰天しました。これ、全然『不思議の国のアリス』じゃないんですね!
原作は全然違う、「タイドランド」という大人の女性が書いた小説で
『アリス』をモチーフにちらちらと散らしているけれど・・・とんっでもない映画でした。


少女時代のふしぎな妄想、本人は当然と受け止めている異様な、不条理な宇宙。
眠っている間にみる『夢』が、不思議の国のアリスの実体だったけれど、
この映像には、ものの見事に、現実と非現実の境目が無い。そしてそんなもの無くていいとでも
言うかのように、非現実と溶け合った現実が、どんどん進んでいってしまう。
バッドトリップしたような、少女のみつめる世界に取り込まれて、目が回りそうになるよ・・・
この映画、完全にイカレている。ぞっとするほど、狂ってる。
だけれど、美しくて美しくてしょうがない。
実験映画のような、この映画でしか体験できない『映像の快楽』に溢れている。本当に素晴らしい。
とくに(台詞も含めた)音響は出色の世界観で、まるで火花、花火、どっちでもいいや、その美しさだ。
今までパイソンズと、映画監督ギリアムは、ほとんど別物と考えていた。
これについては・・・ 言ってみれば・・・ パイソンズのアニメーションはどうしても切り離せない。
近い とは言わない。けど、『対極にあり、かつ同じもの』だと思う。


映画館に入る。すると二時間以上、私たちは少女の脳の中に閉じ込められてしまう。
こんな映画は初めてだ。
狂っている、とはっきり言える映画は。
http://www.rosein.jp