みちのくサマータイムブルースPart4 青森・弘前・奈良美智篇

akk2006-08-22

無軌道ドライブより無事生還しました。今夜は東京から愛をこめて。


みちのく最終日のきょうは、奈良美智grafの『A to Z』
そして7月に出来たばかりの青森県立美術館へ行ってきました
『A to Z』は、中央弘前駅からスグ、商店街の裏手にある、酒造倉庫の跡地でやっています。
ちょっとした公園のようになっている場所。
いま弘前の商店街は軒並み、奈良美智まつりです。『A to Z』モチーフのお菓子やらメニュー、
キャンペーンなどがほとんど全店で繰り広げられています。
これだけ看板出てたら迷わないわ。現在地から会場までの地図が、各店の前に出ているんだから。


さて『A to Z』展へ。
がらんとした大きな倉庫の中に、街が出来ていました。
AからZまで26棟の小屋が街をつくっている。奈良さんの街です。
童話みたいだし、無国籍、中東やアジアの何処かや、地中海のような?
マジックリアルの街かどで、扉を開けると様々な世界が現れる。小屋に入れば時間すらぶっとんでしまう。
その室内も壁も、外観もすべて意味があって、ひとつの世界が組みあがっている。
すごいんだよ、本当にすごかった。もうこれは見てもらうしかない!
見る人のために細かくは書かないけれど、ひとつだけ。
この倉庫は2階建で、1階はA to Zの街。そして2階にはびっくりするような世界が広がっています。
本当にびっくりした!!!度肝を抜かれました。なんてこと、なんてあなたは魔法使いなの!奈良さん!!!
絵も造形も含めて空間に魔法をかける、奈良さんの凄いところって何よりも、その世界の作り方だ。
改めてそう思う、作品のかわいらしさが目だって有名だけど、それはただ一つの要素でしかなくて
空間なんだよな、この場所でしかありえない作品、展示の流れ、頭の中の世界そのもの。
だから来てよかった。
本当に来てよかった。これを読んでいるあなたにもぜひ見てほしい。青森は遠いけど、
わざわざ行く甲斐がほんとうにあるんだ。
ディズニーランドなんて比較にならないほど、とんでもない奈良さんの街へ。
マジックリアルワールド 弘前に在り ひまなガボファンも是非、青森へ飛んできて!
私も暇ができたら、また行きたい。これだけを見に、行ってもいいとおもう。
スミからスミまで素晴らしかった。感動した。世界観が変わった。言い過ぎじゃない、そう全部。


あんまり素晴らしくて二巡して見たものだから、ずいぶん時間が経ってしまった。
弘前を離れる前に、どーしても気になっていたレコード屋へ。
A to Z展で無造作に置かれたバイクにも、その店のシールが貼ってあった。
弘前出身の奈良さんが、かなーりお世話になったという「JOY POPS」です!

中古新品ごたまぜで置いてあって、バーゲンコーナーもあり。レコファンみたいな感じだね。
そーかここで奈良さんは…と感慨にひたるのも束の間、数秒後にはハンターの目で店内を見て回り
なぜかグレイトフルデッドの初期ベスト盤&なぜかジェネシス、ピーガブ辞めた直後の『Wind&Wuthering』
を各1050円で購入。ああそうだ、A to Zの街って、ケイト・ブッシュのある曲にそっくりなんだよ。
曲名が思い出せない…たぶん友人に貸しっぱなしの『DREAMING』に入っている。扉の閉まる音や靴音が響く曲。


さて、続いて青森市へ。弘前から1時間半ほど、けっこう遠いのね。
ぴかぴかの青森県立美術館は、古墳のすぐそばにある。だから山の中。
不思議なシチュエーションだけど、みょうに環境になじんでいる。
すっきりした建物。ディテールが洗練されていてイマっぽいステキな空間です。
ただいま開催中のシャガール展を見ていると時間が無い!ので、常設(企画)展示
『青森コンプレックス』だけ見ました。
そう、そう、もちろん奈良作品群。そして青森のスターといえば寺山修司。それから棟方志功
そのあたりをすべて網羅できるスバラシイ展示でございました。
棟方志功は大充実(すげーです!)寺山修司はポスターだけだけど頑張ってたし
奈良さんの展示室は、ご自身&grafが構成している。
ここでも奈良さんの話をクローズアップせざるをえません。ここも小屋あります。
『ニューソウルハウス』という、韓国で展示した小屋。この小屋の先には…仰天です!!!
仰天するコミッションワーク(美術館と一体化した設計の作品)あります!
この日このとき、ちょうど雨が降っていた。その作品は雨に濡れていた。
そうして、その時に涙が流れるんだ。
これ以上書けないのが悔しいけど、そういう作品。本当に凄いんだよ。完全に吸い込まれてしまった。
暫くそこにいて、あと他をみながら、3回戻ってきて見た。挙動不審だったかな、でもいいや。構わない。
ほんとうはもう一つ、奈良さんによるコミッションワークがある筈なのだけど
美術館の人に聞いてみたら、まだ出来ていないんだって。近い将来に期待です。


そんな訳で、青森アートめぐりの一日は終了。
東京まで8時間のドライブを完遂してもどってきました。途中眠りながら、何度か休みつつ。
その時々に聴いていた音楽の話を書いてないのは、それが言葉にならないからなんだ。
どんな風景のときに何が鳴っていた、そういうことを記すのは簡単だけど意味が無い。
たった一人だった時間、色々なことをかんがえた。
車を走らせる時間、自転車に乗る時間、ホテルの部屋でもずっと音楽を流していた。
それらの音楽は私の記憶に焼きついて、感情や思考とおなじように頭の中を舞っていた。
62枚のCDをすべて聴くことはなかったけれど、ほとんど全部再生した。
旅を思い出すとき、わたしの心はその音楽を忘れないとおもう。