Today#121 涙がでる「まんが日本昔ばなし」

akk2006-09-01

みちのくを旅してからというもの…
最近、日本の(特に地方の)歴史全般に物凄く興味がいっている日々です。
今、現地で買った柳田國男の『遠野物語』や民話小選を読み返している。そうすると
どこからどうなって、この物語の世界が産まれるんだろう?っていう
物語のバックボーンが凄く知りたくてしょうがないの。
だって或る特定の作家の、頭の中のイマジネーションじゃないから。
土地が生み出した物語 だとしたらその土地の、心のバックボーンはなんだ。
子供の頃に伝えられていたのに、この歳になって忘れかけてた物語が
宝石箱をひっくり返したみたいに、バラバラッと降りかかってくる。
わたしは読むたびにびっくりしている。マジックリアリズムの洪水に!


そんな訳で、うちのPSXのおまかせ録画に「日本の歴史」というキーワードを登録してみました。
いひっこれでTV番組からも学べるぞ、とワクワクして自動録画された番組をみていたら
まんが日本昔ばなし」が録画されていました。ああ、そうか。そうだった。
きっと私達が子供の頃から、当たり前のように民話に親しんでいたのは、この偉大な番組のおかげだ。
当時の内容そのままを再放送している、というハナシは以前から聞いていた。
信頼できる情報筋(笑)からも、今みると本当にすごいよって勧められていたっけね。
ご飯つくりながら、気楽な気持ちで見ていたら、ちょっとすごくて泣いてしまった。
八郎潟の八郎」という物語。
でもね、これ見たことがあった。子供は体も心も、キズがついてもろくに自覚してないから
その当時は、こんな風に胸につまされる思いなど感じなかった。大人のようには。
たった10分なのに、こんなに素晴らしいロードムービーはないよ。ヴェンダースに見せてあげたい!
まさに先日通りがかった、岩手県の雫石に住む少年の物語だった。


岩手県の雫石。
山に住む八郎は、ある日出来心でイワナを3匹、友達の分まで食べたら、竜になってしまった。
焼けるようにのどが渇いて、苦しくてしかたない。
竜の八郎はのたうち回りながら、水を求めて川を彷徨い、十和田湖にたどり着いた。
でも、ここに長くは居られなかった。お坊さんがやってきて、魔術の末に八郎を追い出してしまったから。
八郎は、体じゅうに刺さった剣を受けて、傷ついた身をひきずりながら、また旅に出た。
どこにも居場所がみつからない。
犬に追われ、神々に追われ、人々に忌み嫌われ、心はボロボロにすさんでいく。
そのたびに八郎の心から、人間らしい心が剥がされていった。
そのかなしみは余りに深く、怒り、稲妻、嵐を巻き起こしてしまうから、たくさんの人々が死んでしまった。
もうなんにもできやしなくて、途方にくれるだけのモンスターは疲れ果ててしまって
人間だった頃の、平和で幸せな日々を思い出す。戻りたい、でも。
(でも、だめだ。イワナみんなの分まで3匹とも食ってしまったで、だめだ。)
八郎はつぶやいて、大粒の涙をながした。
そのとき、どこかでニワトリが鳴いた。そして八郎は決心した。夜明けの、秋田の男鹿浜で。
今、じぶんが人間らしく泣いている場所。この浜を湖に変えてここに一生住もう。
すっくと身を正し、稲妻を呼び、津波を招いた。でも、ここに巻き込まれてしまった老夫婦がいた。
竜は、今までのように見過ごさずに、溺れる老夫婦を助けた。
そしてお礼を言う老夫婦と話しながら、八郎はずいぶん久し振りに
竜になってからきっとはじめて、幸せにわらった。
竜の八郎はそこに住処を見出し、のちに可愛らしい女の子竜と結婚して、幸せに暮らしたんだってさ。
よかったじゃない!


そういうお話。凄くいい話なんだ、ちょっと意訳したけど伝わっているかな?
絵の世界も独特だし、なによりも市原悦子さんの語り部ぶりがほんとうに泣けたんだよね。凄いね。
ちなみに「まんが日本昔ばなし」で、子供ながらに大号泣した忘れられない物語があって
「カッパの雨乞い」というお話なんだけど、HPみたら、なんと先週放送してたみたい!!!
かなりショック!見たかった(けど泣いちゃうからいいか。)
まんが日本昔ばなしのページ→ http://mbs.jp/mukashi