マッチポイント

ウッディアレンはロンドンへ行きました。
舞台をニューヨークからロンドンへ移したウッディ劇場、初めての作品「マッチポイント」
ウッディ出ません。役者陣はイギリス人多く、イケメンや美女が揃い、音楽はいつものジャズから
なんとオペラだといいます。宣伝じゃサスペンス?とか驚きの結末!?ウッディの新境地??
とにかくシリアスな様相です。
最近のウッディ作品には、確かにぎょっとするようなエンディングが待っていて、
それは、『運命』についての表現。ウッディは同じ一つのことしか言ってないんだけど
そこに向かう2時間が爆笑コメディに包まれていても、優柔不断な恋愛物語であっても
もっのすごく真摯でストレートなスマッシュを決めてくるのです。容赦ない。本当に容赦せずに。
そしてだからこそ、かもしれない。運命について考える、直球シーンを作品にちりばめているから
以前の彼のトレードマークだった皮肉やひねくれが、鋭いガラスのようなストレートさに変わった。
思えばその素直さは、「世界中がアイラブユー」辺りから見えていたんだ。
そして「マッチポイント」 
ついに、笑いで包むことをしない作品を撮ったんだな。予告編を見て、私は思った。コイツ本気だ。
だから大ファンの私としては、それ相当の覚悟で、しかるべきタイミングで観にいこうと
こっそり心に決めたのだ。自分の人生にもスマッシュされるだろうなんて思って、今年の最重要ミッションとして。
きょうは恵比寿ガーデンシネマへ行きました。


宣伝の仕方がいいのか、ジョナサン・リーズ・マイヤース人気か(?)
ウッディ史上まれにみる大人気!満席また満席。仕方なく一回分見送りました。
ウッディ作品で「残り6席でーす!」なんてプラカード掲げるガーデンシネマを見たのは初めてだ。
これはひまなウッディファンよりも、普通の映画好きのほうが圧倒的に多いに違いない事態です。
みんな見てくれ。そしてウッディ大好きになって帰ってね。いつもならそう思って浮かれるけども
今回はどうなのか…私ほんとうに緊張してました。
たぶん笑いどころは一切ないだろう。くすっともさせないだろう。だって本気だから。
本編が始まった。「BBC FILMS」のロゴが出て、ああ本当にロンドンで作ったものなんだなと実感して
モノラル録音のアリアが流れる、音がとても悪いので、そのことに安心する。音が悪い、ジャズと同じだ。
そして、いつもと同じフォントのクレジット。
その先は…?


二時間後
私は神妙に、頭を抱えて、真剣に考え続けていた。
ぐるぐる、今観たものがなんだったのか、繰り返し思い続けて。
恐ろしく明確で完璧なストーリー。笑い一切なし。言いたいことははっきりしている…最後も。
いや、最後は???あのエンディングはいったいどういうことだ?
ウッディの言いたいことはおんなじだ。それわかってる。でも、なんだ?
帰りのバスの中で、あっと思った。
(人生なんてそんなもの)→「運命」にかえてみる
運命なんて、そんなもの!?


…ウッディ、私あなたに質問があるんだけど。
「マッチポイント」はもしかして、
もしかして、笑いのない喜劇だったの!?
あれは…そう思うとすべて辻褄が合うんだよ。私が感じていたあなたの流れに。
あなたはやっぱり笑ってるんじゃないの?
運命なんてそんなもの、ニヤ!とロンドンで。ニューヨークと同じように。
愛憎渦巻くサスペンス劇のようにして、そこら中に運命が転がるちいさな世界を俯瞰して。
ウッディ、そんなあなたにラブユー。


ロンドン街頭ロケだらけ!世界はどこでも一緒だねウッディ!
「マッチポイント」HPはこちら→http://www.matchpoint-movie.com/pc/index.html
ウッディファンどん引きの可能性もある立派な劇映画です!ファンは心して劇場へ!