ROOTS,ROCK,REGGAE

映画「ROOTS,ROCK,REGGAE」がDVD化。やっと見ました。
こちらです→ http://www.nowonmedia.com/rrr/


これ、ジェレミー・マー監督による、世界各地の音楽を巡る「Beats of the Heart」シリーズの
一本なんですって。その制作は'77年から80年代まで。そしてこれは77年のジャマイカ
つまり初めの一本ってわけ。
本編前に、全作品からのダイジェストで構成されたオープニング映像があるんだけど
それがまた、めちゃくちゃ気になるものばかりで…。
炎の中で踊るインド女性、ニューウェーブっていうかこれYMOのジャケまま映像化…とか
中国人が弓矢を射るカット等々。そこにボブさんのドレッドブンブン姿も入ってる。
これ、このシリーズ全部観たいんだけど、どうしたらいいんだろう…。
そのうちDVD化されることを願って、今日は「ROOTS,ROCK,REGGAE」のお話です。


ボブマーリイの音楽からレゲエの凄さに目覚めた私にとって
ボブさんのドキュメント映像で初めて見たジャマイカの風景は、本当に衝撃的だった。
ボブさんの魂の、くるしいほどの叫び声を聴き、灼熱のスラム街から生まれた叫びとわかっていても
その街は視覚で見れば、私の想像なんか遥かに超えるものだったんだ。
貧困と野生のたくましさが、良くも悪くもめちゃくちゃに渦巻く無防備都市
その後、幾つかジャマイカの姿を映像で見たけれど、それが8mmフィルムだろうが、DVビデオだろうが
いつの時代だろうが、まったく同じ印象を受けた。
混沌が映っている。その中で道端で踊りまくる男女の姿は、とても自然だった。
音楽がなければこの国はどんな風になっていたんだろう?


「ROOTS,ROCK,REGGAE」は道端の音楽が、ジャマイカ全体を包むように流れて、人々の血の中にまで流れて
音楽が、空気や食べ物や愛のように、活力になって人間を生かしている事を伝える映画だった。
ジャマイカの風景、特にトレンチタウンの壮絶さは長く映されてる。ほとんど被災地のような場所で
その状況が何十年も続いている貧困地域。
ごみが散乱した土地はそっくりな風景をみたことがある、東京の埋立地の未開発地、それから
その先にあるごみ処理場。
もちろん普通の街の風景も映ってる。皆、道端にいて、有名なミュージシャンも路上に座っている。
おもむろに歌いだして音楽が始まるのは、映画「ロッカーズ」とほぼ同じようなもので
貧困のくるしみや、社会への反抗、空しさをぬぐい生きていかなきゃ、愛をもって生きろ、という
生きる心の解放をメロディにしてうたっている。
路上にはサウンドシステム、スピーカーが積まれたらそこは、自然にダンスホールになって
どこでも踊れるんだ、つまり豪華なダンスホールに入れない人でも、誰でも踊れるように…発展した文化。
途方にくれてしまうよ、リアルすぎる。私は贅沢だ、安全な東京のマンションで、雨の夜も雨に濡れずに
暖かくしたければできる部屋で、食べたいご飯をつくって食べて、寒いなぁなんて言いながらDVDを見てる。
朝になれば仕事があり、ちゃんとお金をもらえる、差別も暴力も受けず、心のやさしい人達に癒されて笑ってる。
知りたい事は勉強できるし、踊りたければフロアへ行ける、楽しんで生活して、生きて。
それなのに、時に些細な事で悩み悲しみ、怒り、嫉妬し、それから怯えて…?どんな風に負の感情を抱く?
このリアルを目の前にすると、そんなの涙が出るほどばかみたいだ。
それなのに、こんなに私は贅沢なのに、音楽に助けられて生きている。
ジャマイカの路上で、その場所に在る空気のように音楽があるのは
話す言葉に音階がつくように、音楽があるのは当たり前なんだ。なければ生きていけないのかもしれない。
人々は眼にみえて在る愛を伝えたいのと、受け止めたい。ブルースと同じ、辛すぎて、笑うために神様が吐き出した愛。
『音楽は生きる希望』
生きている生活すべて、なにもかも、空気の振動に愛を包んで流して、それが生きる糧に
食糧のように命綱になるように
JAH、ラスタファーライ!
彼らの「闘え」はアジテーションじゃないんだよ。日々幸せに生きていこうって
ただそれを願っているだけの、支えあう愛だ。
今まで、歌詞を知らずに聴いていた曲の内容をはじめて知ったものもあった
 今日の午後、暴動が起きた でも人々は暴動を起こすためにそこに居たわけではない
私はマリワナに興味はないけれど、それが彼らの心や身体の痛みを和らげる薬草ならば
それはそれで、いいと思った。
今までは、しょうがないなあラスタマンは…と苦笑いしてたけど
薬ならば飲め、そしてあなたの苦しみが治るといい。初めてそう思った、この映画を観て。

ルーツ・ロック・レゲエ [DVD]

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