Today#133 特別に大事にしたい本の話

ジャック・プレヴェールの詩集「鳥への挨拶」を読みました。

ジャック・プレヴェール 鳥への挨拶

ジャック・プレヴェール 鳥への挨拶

奈良美智の絵が挿入されています。挿入どころか殆ど奈良さんの画集といえるほど…
絵本のような構成になっている。この本の構成と、詩の和訳は高畑勲
テキストの配置といい、高畑さんは装丁レイアウトの才能もめちゃくちゃ凄い!
ジャック・プレヴェールの詩世界と、奈良美智の絵世界が蜃気楼のように溶けてゆらめいてるし
絵が詩を包んでいたり、詩が絵のそばで独り言をつぶやいてるようでもある。
なんかね、独特の空気を生み出している。お互いがお互いに。
ぜひ店頭で本に触ってほしいんだけど、紙の質感がすこし薄くて、ペーパーバックの紙。
それがこの詩集を特別な本にしている。特別大事にしたいなぁと思う本ね。
生活の中でそのへんに置いて、ベラベラめくってたまに座り込んで何度も読んじゃったり
その時いいなと思ったページを、飾るようにして開いて置いたりと
この本を買ってから実はもう1ヶ月経っているんだけど、そうやって付き合っていた。
やっと今日、すべて読み終わって。それでまたペラペラして、所々読んだ。
読み終わった感じがしない。ずっと続きそうなんだ。それはやっぱり詩と絵の空気感の作用
なんだとおもう。
家に帰って、今日一日を振り返って色々考えたりとか、ぼんやり抽象的な感情のままに
ホネなし人形のようにのびてる時に開くと、包まれる本。


ジャック・プレヴェールがどんな人か軽く書いておきます。
とても有名なシャンソンの歌詞をいっぱい書いている人。「枯葉」もこの本に載ってます。
そして映画の脚本家。
最後のあとがきを読むまで、この人が「天井桟敷の人々」の脚本家だとは知らなかった!
天井桟敷の人々」は、私が紹介するまでもないほど有名だけど、物凄く強烈に大好きな映画です。
中学生の頃に初めて見て、バチストとガランスの恋に恋して、運命ってなに愛ってなに?と
ぐらんぐらんハートを揺さぶられたものです。ちょうど劇場でリバイバル上映してたんだよね。
忘れもしない、日比谷シャンテシネ2。台本採録付きのパンフレットも持ってる。
あれがプレヴェールだったとは…今度実家に帰ったら、パンフレット探してこよう。
アルレッティはいまだに私の憧れの女性ベスト3に入るほど、美しかった。
ああ〜また見たくなってきた。長そうだからってまだ見てないかたはぜひどうぞ。
天井桟敷の人々 [DVD]

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そういえば、夏に見た奈良さんの「A to Z」展に、プレヴェールの小屋がありました。
この本に使われた絵や、詩のテキストが壁中にコラージュされていて、それはそれはもうね…
あんな部屋に住みたいよー!