たのしそうな幽霊の話

幽霊、こわい。
見たことないけど、なんかこわい。
でもさっき、アイルランドケルト地方の民話伝承を読んでいたら
とってもたのしそうな幽霊と人々との共存風景が書いてあった。
ケルト地方の民話といえば妖精、精霊が当たり前のようにふわふわと
日常生活の中に漂っているけれど、幽霊についてもそうだった。
怪談のDNAを受け継ぐ日本人(怖がり)としては、嬉しい衝撃を受けちゃったなぁ。


或る、幽霊の多く住む村についてのお話。
夜になるとそこかしこに幽霊がいて、例えばあの橋には首なし人間がいるとか
あの道路の角には○○夫人が立っている、といった具合に村中に幽霊がふらついている。
彼らは「外の幽霊」で、村には「家の幽霊」も住んでいるっていう。
「家の幽霊」は怨念・呪縛どころか、住みついた家にとっては『縁起が良い』とされており
幸せをもたらすんだって。
日本でいうとそれって座敷わらし…?でもケルトでは『幽霊』。
家の幽霊は、無害で人に好意的なものらしい。
とてもエレガントというか秩序正しく生活していて、例えば一家全員が寝静まってから
最後に幽霊が眠りにつくとか、時には海へ魚を取りにいったりする。
家の幽霊とその一家の人々は、なかよし!
幽霊を恐れず、むしろ幽霊がすることに、芸術的でユーモラスなたのしさを感じてる。
そして幽霊も、一緒になって浮かれている。
…っていうんだから。たのしそうだね。
もとは彼らはその村に生きていた漁夫や農民なんかで、ただ形を変えて村に住み続けている。


亡くなった人に幽霊という形でも会いたいって思うことはあるけれど
逆に幽霊になってからその人と出会い、気があって仲良くなる…みたいなこと。
幽霊に恋をするとか、幽霊との友情ってよく物語の題材でもあるけど、それって怖いのが前提だったりする。
こわくないんだなぁ、きっと。元にんげんだもの
全然知らない人の幽霊に出くわしても、それって普通に『新たな出会い』なのよね。
そう単純だけど思いつきもしなかったことを感じて、心から納得した。
まあ私は妖精も精霊も見たこと無いし、たぶんあんまりご縁もないだろうけど
もしも出会ったら、またここに書きます(笑)
ケルトの日常マジックが炸裂よ↓淡々としている…

ケルトの薄明 (ちくま文庫)

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