スクリーンで旅にでる〜2時間のタイムトラベル

今週が3連休で助かった!
土日のお仕事を無事終えて、1日休息できるなんて天国だ!
今日はノビノビホリデー。ラピュタ阿佐ヶ谷へ。
今、ラピュタでは推理映画フェスティバルをやっていて、実はこのところ毎週1本観に行ってる。
休日の密かなお楽しみと化しているのです。きょうは松本清張の「張り込み」を観た。
ちなみに前回は、ヤング山崎努がフキコシに激似でメロメロになった!「恐怖の時間」
その前は同じく松本清張原作「ゼロの焦点」。
たまたまなのだけど、全部白黒作品でね。古い映画ばかりだから。
或る時代の金沢、新宿、佐賀 今もう見ることのできない街へ、旅に出ている。


ラピュタ阿佐ヶ谷は、阿佐ヶ谷に住み始めてから行くようになった。
地元の友人にならって、速攻で会員になりました。スゴク良心的な会員制度なんだよ。
広くてくつろげるロビーや、もこっとした天空の城のような建築もいっぺんで気に入ったけど
何よりも素晴らしいのは、映画館のつくりだ。
50席ほどの小さいスペースは、横長に作られていて、スクリーンとの距離が丁度良く『近い』
中央、後ろの端っこ、一番前と色々なポジションに座ってみたけれど、どこでもすんなりと
同じように『近く』感じるのだ。
スクリーンの高さも絶妙で、見上げないけど前の人の頭が邪魔じゃない。
『近い』というのは、物理的な距離もだけど、つまりはスクリーンと自分の心の距離のこと。
目の前の映像にすっと包まれる ってわけ。座席に座り、暗闇でタイムマシンのスイッチを押し、
こっそり目を閉じて、ゆっくり開き、映画の中に入る。
その「マシン」の装置のしくみをよく知っている人が設計したのかな、と思う。


白黒フィルムでしっかり撮られた「或る時代の日本」をみている。
推理の物語ももちろん面白いけれど、私はこのタイムトラベラーの快楽にやられてしまう。
走るSL、長屋が立ち並ぶ街、逆さ読みのカタカナ看板に彩られた繁華街、子供のころに見た駅の風景。
今生きている東京の街じゃない場所を、この目で見ている。すみずみまで、とてもリアルに。
大変なカタルシスだ。
それらが日常にある世界で、物語がすすむ。見渡す限りの風景がその日常だから、
登場人物たちがみんな、タイムトラベル先で見かけた人々、出会った人々のように感じる。
映画が終わり、外に出るといつもの街。阿佐ヶ谷駅の風景、ターミナル空港に帰ってきた私。


古い日本映画を映画館で見るのは初めてじゃないよ、もちろん。
でも、なんだろうなこの感覚。ラピュタ阿佐ヶ谷効果なのか、ただの私の感覚の変化か。
わかんないけど2時間、往復チケット代800円で、どこにもないどこか遠くへ旅にでた。
それはとてもいい体験として、胸に刻まれている。