続・ひとのこえはおんがく(ボアダムスのクリスマス)

―24人の合唱、3台のドラム、1台のターンテーブル、2台のCDJによる音楽
こんな編成のオーケストラ、どんな音なのか全然想像できない。
でもボアダムスだって思うと、それはそれは大変なことになっている様子が浮かぶ。
唯一無比の、あの膨大なグルーブが・・・合唱で満たされるなんて!


ボアダムスの新譜「SUPER ROOTS#9」は、2004年のクリスマスに行われたライブの音源だと知って
ほんとうにドキドキしながらレコード屋へ走った。
というのも、このライブに行った人の感想をリアルタイムで聞いてたからだ。
彼は言った「俺の体も心も砕け散って、俺は音楽になった、と思ったんだよ」
それから、どんな様子でどれほど素晴らしかったのかをランダムに話してくれた。
うっとり、途方もなく凄いものをみてしまったときの表情。
俺、発光してない?と聞かれて、私は思わず目をこすって、彼をよくよく見てしまった。
発光してなかったけど。
本当に聴かせてやりたかった、と何度も言っていた。


その人とは暫く会っていなかった。
でも今、わたしは昨日の日記に書いたように「ひとのこえのおんがく」が手元に集まる時期なんだね
彼は唐突にメールをくれたんだ。CDになったぞ、聴け。と
家に帰って再生しはじめてからすぐに(これはちょっと、かなり大きな音で聴きたい、でも近所迷惑)
と思い、久し振りにヘッドホンを出して聴いた。ライブと同じぐらいの音量で聴きたかったんだ。
そして、それが一番ふさわしいと思う。
ボアダムスのCDは数枚聴いてる程度だけど、ライブの印象があまりに強い。
何度か観た、そのたびに精神が昇華する体験をした。ライブで昇天するっていう言葉がぴったりくるバンド。
その初めてのライブ盤。やっぱり凄かった。森羅万象を駆け抜けたような感じがした。


24人の聖歌隊は、透き通った声で天国と地上を行ったりきたり・・・まっすぐに急降下、上昇する天使の
決して歪まない、そのままの合唱。
交互に絶え間なくリズムをうねらせ続ける3台のドラムは、地上で鳴る全人類のハートビートのように
生きる地獄も幸福もそれ以外の感情も、至るところで鳴っていて
ターンテーブルの音は、土に生える雑草の下から都市の路地裏まで、様々な場所を流れる水源だ。
たまに思わぬところで、水がキラキラ輝くんだよ。
この世界のバランス、清らかな歌声がありのままにめぐる。
ボアダムス特有のネイティブリズムが、このように彩られるなんて、クリスマスの夜に。
それを思うと、マーヴィン・ゲイの「What's going on」みたいだな、と思った。
(音楽のジャンルや雰囲気ではないよ、全然違うもの。)わかりますか?
いま混沌に身をおきたい人は、これ聴いてみて、40分後には混沌がべつの形になっているとおもうよ。

SUPER ROOTS(9)

SUPER ROOTS(9)

ついでにこれも 今夜は聴いた。
VISION CREATION NEWSUN

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