パラダイス・ナウ

アップリンクメールマガジンを購読している方、あのメールには驚きませんでしたか?
先日、号外的に届いた「パラダイス・ナウ」についての告知。
そのメールは、アップリンク主宰者の浅井さん個人の名前で書かれていた。
とにかく、どうしても「パラダイス・ナウ」を観てほしい。一人でも多くの人に観せたいと思う。
もし気に入らなかったら、その理由を書いてメールください。
私個人が責任を持って入場料を返金します。
この潔さに心動かされて、上映中の東京都写真美術館へ向かった。


そして実は、心はアメリカの銃乱射事件のやるせなさに傷ついてもいた。
ボウリング・フォー・コロンバイン」をまた観て、なんかすごくもやもやと悲しくて
そのもやついた闇を少しでも、はっきりしたくて、それが絶望につながるとしても・・・
世界を傷つけるのは誰、なぜ、どうして、自分と世界を傷つける。
それで、自爆テロを行う若者の映画「パラダイス・ナウ」を観たほうがいいと思った。


パレスチナ問題のなかの日常、穏やかな午後にそれは起きるんだ。
問題はあまりにも深く根付いてしまっていて、誰もが心の奥で葛藤している、日々。
突然降ってわいたような自爆テロは、過激なテロ集団が起こした事件というよりも
「正義を訴え抑圧につよく反抗する人々」のグループが行う、命がけの意思表示でしかなくて
自爆者に選ばれた若者2人は、自然にその運命を受け入れるようにして、テロに向かう。
でも、手違いでテロが未遂に終わったときから、再び決行するまでの1日のあいだに
彼らは死の現実に直面し、迷い、悩み、共存という考えかたに出会い、様々にめぐり・・・
思考と感情の変化を経て、それでも自分は自爆テロをやるべきかどうか、決断のときがくる。
やるのだ。そう思わざるを得ない複雑な心の糸のもつれ、それは「問題」が彼らに見せた、世界の傷。
世界の傷が傷を誘発し、傷ついてまた誘発される新たな傷・・・終わりが無い。
だから胸につまされるラストカットの沈黙を、私たちは受け止めなきゃいけない。
自爆テロのニュースは遠く離れた日本に届く。そのときに、この映画の沈黙とかなしみを
どこかで、思い出して、みつめるべきなんだ。
一人でも多くの人に見てほしい、私もそう思ったよ。


パラダイス・ナウ」HP http://www.uplink.co.jp/paradisenow/