熱狂の日’07 民族のハーモニー冒険奇譚

年にいちどのクラシックまつり、今年も行きました。
一昨年ベートーヴェン、昨年がモーツァルト、今年は民族のハーモニー
・・・なんだかレコード屋の特集コーナーのようなお題です。
みた感じ、ウィーン以外全世界対象・・・てことかな?
チャイコフスキーラヴェルガーシュイン、よくよく見るとこっそり武満徹まで紛れてた。
今年もチケット争奪戦から大きく出遅れたので、主だったものは売り切れまくり。
ああもう今こそ、現在のラプソディ・イン・ブルーを体験したかったのに・・・。
でもきっとTVで(芸術劇場あたりで)やるだろうから、いいのです。


そんなわけで今年は、いかようにもフォーメーションのとれる雑多さだったのだけど
私の参加プログラムは、ラヴェルドビュッシーラフマニノフの『繊細な魔法使い』御三家です。
ドビュッシーは本当は「映像」とか「喜びの島」が聴きたかったんだけど〜売り切れでしたから(こればっかり)
「牧神の午後への前奏曲」を聴いた。禅のように無心に穏やかになって。
そのあと、ラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」で、やさしい気持ちになって
ボレロ」です。
席が2Fの後ろだったから、はじめの『微小の音楽』はきちんと聞こえてくるだろうか?って思ったけれど
すーっと入ってきた。そのとき頭の中ではじめて、ボレロがイメージ化されたというか・・・
素粒子の幾つかがより集まって、くるくる回りながら色とりどりの光を描いていって
それが踊る人になり、音が増えるにつれて文明の風景が出来上がり、最後は円形舞台の上で踊る人がくずれおちる
とともにすべてが塵になる、という感じでした。白昼夢みたいなものか、イメージなんて。
映画「愛と哀しみのボレロ」と、ガルシア=マルケスの「百年の孤独」がまじって夢になったんだな。
私たしか昨年の熱狂の日にも、「百年の孤独」と書いたのだけど、レクイエムについて。
あの物語を俯瞰してみると、はじめから終わりまでをね・・・すると「ボレロ」そのものなのよ。本当に。
賛成のガボファン 手をあげてー!きっと5人ぐらいは居てくれると思うんだけどな。。
百年の孤独」 いいかえてみれば 「愛と哀しみのボレロ」 字余り


燃え尽きて、ああ凄かった、とくらくらしているるところに
おもむろに、おもしろスペイン音楽ファリャが・・・あれはなんだったんだ・・・こんなに展開の速いクラシック
聞くのは初めてで(他の音楽でもめったにない)まるで映画のサントラダイジェスト曲のよう。
しかも、西部劇のマカロニウェスタン。あまりの展開の激しさについ笑ってしまいました。
しかも、この曲タイトル・・・バレエ音楽『三角帽子』だって。どこがどうなって三角帽子!?バレエってあなた!
超速いプログレというか、不思議な展開のパンクみたいなので、そういうの好きなかたは要チェックです。
続いてまたラヴェル、こんどはバレエ音楽「ダフニスとクロエ」
これがまた・・・初めて聴いたんだけど凄くて・・・カレル・ゼマンの幻想アニメーションの世界。
超ファンタジー!合唱が付くんだけど、それがまるきり魔女だったり、風や妖精の声音のように響いてね。
わたしは夜中にさまよう旅人のように、その音楽を目撃していましたよ。


さてここまで幻惑されきって、ようやくリアルワールドに舞い戻りました。私の生きている現在へ。
シベリウスの「フィンランディア」で(初めて聴いたけれど)出だしの一音から、なぜかほっとした。
それからグリーグの「ペールギュント」、小さい頃にワクワクで聴いていたなつかしい音楽。
当時読んでいた「指輪物語」と完全にシンクロしていたのよね。それも思い出した。
(だから「ロード・オブ・ザ・リング」は今でもペールギュントの印象(笑)
さあここで、こどもがえりした私のもとにラフマニノフが登場です!
この魔法使は、『人生』とプレートついた扉をバッと開きました。私の、か彼の、かは分かりません。
ただ私はその扉の向こうに連れられて、悲しいことや輝く事柄、孤独と幸福、闇と全身を射る光が
音楽になったものを聴いてた。
私はまだ死にたくない。この瞬間が続く人生がある。
大人のわたしが今聴かなきゃ、思わなかったかもしれない、こんなこと。
それでその「ピアノ協奏曲第二番ハ短」が終わって、ものすごい拍手だったのだけど!
アンコールで、一番美しい部分をもう一回演奏してくれた。
とても嬉しかった。


ではここで・・・今日はなにか一枚といいがたいのでこれでね。