12時間連続DVD鑑賞の刑に殉ず

あ、今日が返却日だった・・・。
先週ツタヤの半額まつりで、調子に乗って借りたDVD6枚。うっかり一枚も見てないや。
今から観始めて12時間、の計算で間に合う。12時間て・・・罰ゲームみたいだけど。
もう覚悟きめて、外はお天気だけど引きこもる準備をして、いざ。
一日に6本もの映画をみるなんて、はじめてだけどやってみた。
意外と、借りてきた映画には統一感があり、すべて別々の世界という感じがしなかった。
続いているみたいにも思えたし、それが・・・一言で言えば「罪と罰」「愛と死」そして「孤独」
わたしの休日 罪と罰 愛と死 孤独・・・
でも良い映画が多かったの。ひとりで一回り大きくなった気がする。
では観た順に、DJミックスのように流れた12時間連続、鑑賞記録です。


一本目 

今回はアジア映画に偏り(とくに韓国寄り)だからまずはハリウッドで。
劇場公開時からずっと観たかった「カポーティ」いきます。
一本目から、そんなに泣いてどうするのと思うほどちょっと・・・こぶしを握りしめて号泣。
死刑囚と芸術家、作品に飲み込まれる芸術家の魂。こんなに悲しい物語だなんて、予測していなかった。
じつはこの映画のすべてである「冷血」を私は読んでいないのです。
これを観てしまうと、何をさしおいても読むべきとも思うし、今読んだら深く傷つくかもしれないとも思う。
わたしは冷静じゃない、出会うべきときに読もう、と決めた。
あんまり心が波立ったので、丸まって少し眠った。はじまったばかりなのにねぇ。


二本目すごく面白い映画で、引き込まれたのだけど、私はラストに納得がいきませんでした。
観たかた、意見は二分するでしょうが、私は最後の一言にそりゃないだろう、と思って
すこし怒りました。なんか後味悪かったな・・・その愛。ほんとうの愛情に目隠ししてるだけな気がして。
せっかく、生きているのに。うーんと考え込んでしまった。さあここから復讐劇が3本続くのです。


三本目「RAIN」
リンクがない・・・ので少しだけ書くと、タイの映画です。いくつか賞を取っているようです。
タイの映画ってどんなのかな、と興味を持ってみたら、この作品は超シリアスなノワールもので
耳の聞こえない暗殺者のお話でした。すこし前のウォン・カーウァイのような撮り方で
映像のスタイリッシュさを強く出している。でもカーウァイほど感情的じゃなくて、冷やっとしている。
音の無い暗殺シーンが続くから、とても冷徹で淡々と進む。路上の惨殺に心のゆらぎを感じない。
でも親友の死に心が爆発してね、そこからの感情的な復讐シーンはとても悲しかった。
純真な暗殺者が自分の罪を自覚したとき、深い悲しみがのしかかる。
耳から得る感情情報も、話をするコミュニケーションも少ない日常に生きていた男の心の変化。
無骨だけれど丁寧に、罪と罰と愛について描いたいい映画でした。


四本目今回レンタル分は、パク・チャヌク監督週間だったのです。そしてまた復讐です・・・。
そしてまた、耳の聞こえない男が主人公なのです。でもノワールじゃないし、普通の市民たちのお話。
転げ落ちるように・・・とんでもない展開をする映画でした。
コメディタッチの前半から一転して、後半はどこまでも人を突き落とし、哀しみが連鎖する、
幾つもの死がゲームみたいに流れる。彼ら善良な市民がなぜこんな事態に陥ったか、なぜなんてどうでもよくて
つまりはタイトル通りのことなのだ。罪も罰も因果応報も、くもの巣にからめとられてしまった。呆気にとられる
ものすごい映画でした。


五本目
JSA [DVD]

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有名な映画だから観たかたも多いよね。きっと。
北朝鮮と韓国の国境線で起きた、どうにもならない小さな友情物語のお話。
両国のひどく断絶した関係と、そのルーツはひとつなのに、互いに分かり合ってはならないという掟。
このどうにもならない感を敢えて韓国で、映画にしたのは(しかも、兵士の友情という分かりやすい観点で)
凄いことだと思う。エンターテイメントとして。社会派だけで片付けられない自分たちの国のお話を
真っ向から捉えて。北朝鮮の人たちにこそ見てほしい映画だと思うけれど、公開はされたのかな、されないか・・・。
三本観て、パク・チャヌク監督はほんとに魅せるのが上手いと思ったけど、これが一番良かったな!


ラストー!六本目
裏街の聖者 [DVD]

裏街の聖者 [DVD]

最後はトニーレオンの気楽な笑顔で締めです。
ここまで辛く、悲しく、やりきれない思いになっていたから、すんごい癒された・・・。
香港映画のいいところは「ジャケットを見れば内容がわかり、決して裏切らない」ことです。
ごらんのとおり、温かい人情コメディです。ちょっとほろり、ああよかったな。で、
今夜はよく眠れそうだと思いながらツタヤへ走ったのでした。
なんか長い一日だったなぁ・・・。