フジロックフェスティバル’07〜ナチュラルミラーボール

akk2007-07-29

今年のフジロックフェスティバルはどう見ても日曜日!というのは明らかでした。
私には大好きすぎる人達や、興味津々のバンドが勢ぞろいだったから。
それはつまり・・・今年はハード!を意味している。と現地に着いてから気がついた。
でも会場に入ると、あの独特な空気感に包まれ、まぁーいいんじゃなーい全部見なくても
という浮かれのんびりモードになった。あぁ楽しかった。では今年の見聞録スタート


到着とほぼ同時にグリーンステージで、ジョシュ・ストーンを観ました。
名前くらいしか知らなかったのだけど、とてもスタンダードなソウルで(ブルースでもあって)
モータウンより一世代前のような音と歌声に驚いた。ちょっと鳥肌たつような熱さで、とても良かった。


その一時間後に同ステージにハッピーマンデーズが登場(もう!まだ明るいうちから!大丈夫かしら?)
にも関わらず、まずは会場内をぐるりとパトロールするべく、一番奥のステージ「Field of Heaven」へ移動。
毎年の癖なんだけどそこまで行って、一通り観ながら戻ってくるのが落ち着くんです。行ったことある人はわかるよね??
あまり時間もないし、てきとうに向かってちょこっと食べ物でも買って戻るはずがうっかりと!
移動途中の道端で、すんごいのがやってた!!あんまり綺麗なので、座り込んで聴き入ってしまいました。
Upendra&Friendsという、えーとどこの国の人たちだかまるでわかんない!インド?バリ?モロッコ
とにかく中近東の純然たる音楽が、森のなかで行われていました。
本当に綺麗な音色が響いていて、私もう完全にスピリットだけになって森と一体化しました。魂の浄化としか言いようのない。
澄んだ音を聴いた。森に座ったまま、とても動きたくなかった。
このあとにハッピーマンデーズが待ち構えているなんて・・・なんていうか切り替えが実に難しい・・・。
(そんな冷静な都心的判断もどうでもよくなるのが、フジロックのいいところだとおもう)
ふらふらと戻ろうとすると、途中ホワイトステージに入場規制がかかって大混雑していてびっくり。
それは、観たいけど切り捨て御免の選択をしたクラムボンのライブでした。移動もままならない移動渋滞のおかげで、ちょこっと
観ることができて嬉しかった。郁子ちゃんはさらに可愛くなっていたよ。


さて本日のハッピーマンデーズ
さらに可愛くなっていたよ。
というのが本音です。本当に可愛い♪日中のマンデーズなんて想像つかない感じだったけれど、可愛いの!!!
まあ私はバカなファンですよ、ただのファン。だけど白日に晒されたマンデーズは夜の酔っ払い集団じゃなくて
無邪気に踊りまくっているベズはどうみてもコントで、一人モンティパイソン状態だし
ショーン・ライダーはマッサージの後みたいなふにゃっとした感じで、僕お酒ないとダメなの・・・というふぬけぶりが
かぅあいい!!!!それで今日のステージで気がついたのが、ショーンはオースティンパワーズのミニ・ミーそっくりなの!
超可愛い!ライブは本当に楽しくて、お酒有り無し問わず、この人がマイクを持つとこうなっちゃうというショーンの
独自の(最高に気持ちよく絶妙な外しかたをする)音階は早く天然記念物に指定すべきだ、みんなで守っていこうとおもいました。


マンデーズのニヤケを引きずりながら、つぎは初めてのBATTLES体験です。
行けなかった友人から、これは観てきなさい命令が下っていたのでみてきたよー!
私はこのバンド、全然知らなかったのだけど、大人気で大混雑でした。
とても面白い癖のあるジャムバンドで、独特なプログレッシブの波また波。
電子とフィジカルと、なんか魔法の粉、というライブだった。
メデスキ、マーティン&ウッドのライブを思い出したよ。まっとうな感覚でとても熱く観た。
太陽が沈み夜が来るのです。


スカパラも楽しみにしてたけど、観たらきっつきつになるから切り捨て御免ね。
再度、Field of Heavenへのパトロールへ。今度こそ食べものを買ってー出店の洋服や雑貨を見てー
とにかくね、夜のあの場所はメチャクチャ綺麗なの。フジロックは空間演出が本当に素晴らしい!けど
夜のField of Heavenとその道程は郡を抜いて美しい!今年も現代美術界のかたが(名前失念)やっていて
写真に収めてきたから見てください。はい森にミラーボール!

はい次は森にフラミンゴ!

お約束の大キャンドル郡!
[:]


晩御飯はロコモコ丼を食べたんだけど、意表をついて美味しかったです。肉が。かなり。
さぁ いよいよ次は・・・ボアダムス!V∞REDMOS!
かなりドキドキでした。今年はもちろんこの後のケミカルブラザーズが一番の楽しみだったけども
ボアダムスは、ほぼ同じぐらい楽しみだったのです。しかも、緊張感を伴うような。
「勝負!」そういう感じでした。なんの勝負かって?私の身体そして二本の足と、V∞REDMOSの音楽との勝負。
ビッグウェーブに乗る前のサーファーの気分といえば分かってくれるかしらね?
サウンドチェックの音が聴こえ始めたときから、くるぞ、くるぞ、とてつもなく大きいのが・・・
そんな感じがびりびり伝わってきた。
だってステージには三角形に向き合った3台のドラムセット、ギターを4台くくりつけたオブジェのような楽器。
始まったら、すぅっと音楽の中に入っていった。というか、私は音楽になるしか選択肢がなかった。
自分と外界を分ける肌や肉体が消えていくようで、身体の中をたやすく音楽が通り抜けて
直接、精神に音楽が直撃してくるから身体は無意味になった。私はただ制御ができない状態で足を暴走させて
憑かれたように踊るしかありませんでした。本当に凄かった。もうそれしか言えない。
V∞REDMOSのライブは、人生において体験しておくべきだと思う。
とても、とても、既に少し始まっちゃってるケミカルブラザーズを観る気持ちにはなれないぐらいの大きな体験で
だけど、そんな判断をぶっとばすのがケミカルブラザースのステキなところです。


新しいアルバム「We are the night」を聴いたときに思った。
あら、あら、なんかとっても、やさしくて温かい感じ。
ケミカルブラザーズのライブは何度も観ていて、私の圧倒的な印象は「否が応でも踊らされるプロの祭り」
あの勢い、上がりっぱなしのテンション、強力な磁場をダンスフロアに与えるライブ。
新譜がどうあろうと今夜も絶対そうだ。それを楽しみに来たし、同時にそれがV∞REDMOSからの切り替えに困る点でもあった。
しかし、到着してすぐに思った。
あら、やっぱり、やさしくて温かい感じ!
ケミカルブラザーズのダンス天国は変わらないけれど、確実になにかが変わっていた。それはなにか。
私達をポップコーンのように地面から弾かせるのではなくて、私達を空気の振動で大きく包みこんでいたこと。
強くごりごりとした音は響かず、柔らかく温かいトランポリンの音色に変わっている。
「We are the night」は「私たちは夜です」と直訳で私は捉えていて、誰もを包む夜=ケミカルブラザーズで
だからやさしいのか、と思っていたの。ライブを観て、本当にその通りだよ!と思った。
マンデーズで浮かれて、V∞REDMOSで放心するほど踊って、それから私はここに来た。
自然の木々や輝くミラーボールを見て、癒されてうっとりしてニコニコして、地べたに座ってご飯を食べて
今日一日みたものや、最近あった色々な出来事、すべて
「私達は夜です」と名乗るケミカルブラザーズは、なんにも言わず包んでくれた。
この夜ライブで、彼らはなにげなくダンスミュージックの中で、無心に苦しむ男性の歌声や流星群を
あたたかく慈しみ深く見守っていたの、わかったかな?観てた人。
彼らはデジタルでラブ&ピースを伝えてる。
なんかずっと、初めから終わりまで、目のふちに涙が溜まったままでいるような感覚だった。
これが今年のフジロック、森に落下して引っ掛かったミラーボール。深い自然の奥まで届く、回る光そのままの印象。
でした。