世界のCMフェスティバル2007

世界のCMフェスティバル、今年も行ってきました。
年に一度ここで500本、あとは広告批評の付録を待ちます・・・というのが慣例になってきました。
見逃したあなたのために、はいこちら→ http://www.cmfestival.com/
TOPページのリコメンドから、今年の目玉が観られますからね。
シトロエン04のCMは是非観て!観てください!素晴らしいです!!!今年のナンバーワン!
昨年のCMも凄かったBRAVIAの2007年版もね。メイキング上映もありましたが、特殊効果なしの
実写で一発勝負の撮影なんですよ。ビル着色・・・凄いね。こんなにTAKE-2が不可能な撮影現場、恐ろしい。
しかし、現場の空気は至って和やかなのがまた凄いです。
それから今年は、シャネルのゴシックロマネスクなCMが強烈でした。
ニコール・キッドマンが出ている、絵画のような美しい映像。日本でOAされているのかな?
あれはほぼ短編(実験)映画でした。豪華絢爛を観たいかたはYouTubeあたりで探してみてください。


シトロエンをはじめ、メルセデスベンツBMW(有名なマドンナ×ガイリッチー監督のやつ)トヨタといった
自動車のCMは毎年ビックリさせられます。
お金のかけかたがハンパじゃないし、やっぱり機械を売る企業はテクノロジーの先端性を表現するために
いくらでもCGなり最先端のカメラや特機を使いまくるし、だからこそ凄腕の演出家が投入される。
私は自動車のCMを作りたいわけじゃないけど、羨ましいなぁこんなに好き勝手に出来て、なんて思います。
しかし、かたや今年の全体的な印象は、テクノロジーよりもリアルライフ、手の届かない抽象じゃなく身近な具象
という感じがした。ラフなカメラですっと撮る日常のひとこまや、美しかったり笑えたりする人々のやりとり。
なんででしょう・・・。


ふと思い出した。
ちょっと前に某大手化粧品メーカーのおっちゃんに久々に会って、売り込みしたときのこと。
うちの会社、CGやってますよ何でもできますよどうですか?なんて話したら、
少し前まではウチも華麗にCGしてたけどね、今は原点回帰なのよ。リアルな美しさをみせる方向に向かってるからなぁ。
なんて言われた。
実際、このメーカーさんの最近のプロモーションをみればなっとく。で
他のメーカーにしても、追随するようにイメージ戦略からリアルへと転化してる気がする。
夢みることより目の前の現実へ。


3歩進んで2歩下がる。テクノロジーが飽和気味になったら、原点に立ち戻るのはヒトの本能?
夢の近未来にちかづいたのに、テクノロジーの隙間に心を隠して、コミュニケーションがみょうな歪みをみせているのを
時折感じる。私は静かに悲しくなるし、まどろこしくおもう。
そんなんじゃ、宇宙旅行や時間旅行が簡単に出来るようになったって、肝心な旅人自身が楽しめないじゃん。と本気で思う。
そうなる前に、隠しようのない原点に戻れとプロパガンダするなんてことが起きている、て言ったら大袈裟かもしれないけど・・・
昭和30年代ブームもそんな流れの一端だったりして・・・なんちゃって・・・。
でも私はね、原点上等、その前提で宇宙旅行を楽しむ術をプロパガンダする。それが今すべきことだと思ってるよ。
(また「イノセンス」を観てね、そうおもいました。主人公のバトーさんは殆ど機械製なのに、痛いほど心が生身なのです。)