タロットカード殺人事件

金曜はずいぶんとなさけない日記でした。
その反動でしょうか、土日はダダダーと「私の愛の対象!」の世界の中を走り回ってきた感じです。
一気に書きたいところだけど、たくさんあるので、今日は映画館から。


毎度おなじみウッディアレンの「タロットカード殺人事件」観てきました。
今回はいつもの恵比寿ガーデンシネマでなく、グランデな日比谷シャンテシネ。
しかし、どこで上映しようがそこは、まったりしたウッディファンの集まり。
まったくウッディ映画の客層は、いつなんどきも居心地の良さナンバーワンです。
私も温泉に入るような感じで観に行って、ハァ〜(ホクホク)で出てきました。


殺人事件!でコメディ!でウッディ久々にメインキャストで出演!しかもこの馬鹿馬鹿しい邦題!
これだけでもう、平均点越えは確定です。ファンですから、ウッディが出るだけで笑う自信あります。
あなたの漫才を観に来たわよ!とばかりにスクリーンに向き合うと、BBC FILMSのロゴ、「白鳥の湖」が流れて・・・
あぁそうだ、ウッディは今ロンドンにいるんだっけと思い出す。ロンドンはウッディにとってクラシック音楽
聴こえる街なんだな。それでこのコメディ丸出し作品をやりますか・・・。さてどんな具合でしょうか。


ウッディはユダヤアメリカ人の手品師です。今回漫才ペアのスカーレット・ヨハンソンちゃんもユダヤアメリカ人
の役。ひょんなことで(ていうかこの出会いの設定、世界一なんだけど)一緒に殺人事件を追うわけ。
二人はセットで好き勝手にしゃべりまくり、ロンドンで浮いて浮きまくってる。それを強調するように、上流階級の人々
の中を行き来させて。つまり、完全に登場人物に異邦人を感じるように作ってんの。
ウッディは登場人物=自分の分身 という、いつも素直でウソのつけない監督ですから、特に自身が出るものは。
ユダヤアメリカ人の、ロンドンでの居場所。どこに住もうとアメリカ人としてのアイデンティティ変える気なし!
郷に入れば郷に従う気なし!イギリスはモンティパイソンの国、ウッディ変わる必要なし!と私は強く思い、
彼のたくましさと頑なな美学にすっかり笑わせてもらいました。
クラシック音楽で大丈夫かって?ええ、ペールギュントであんなに笑えるなんて思いませんでした!


それから今回のウッディで特筆すべきは、死後の世界が出てくることです。
最近のウッディが切れ味凄すぎなのは、長らくこの日記にも記していますが、近年の作品で色濃く進化を遂げている
『人の運命これいかに』→『人生なんてそんなもの』→『死んだらおしまいアハハ!』・・・そしてついに!
『死後の世界』
まぁこれがまた、ぜひ観てほしいんだけど、たまらなくウッディらしい捉え方をしてるんです。
何度も言うけどこの作品はコメディです。たぶん、誰もが怖い死後の世界をウッディはやりたかった。
殺人事件という、人の生死がはっきり匂う題材をまた取り上げた。
このふたつがこの映画の核だと私は思ってる。最後の最後、ウッディ自身の運命、それを見て。
ウッディ、大好きよ!!!!!