なんだろうこのシンクロニシティ

ゆっくり休んで4連休、身も心も忙しすぎた日々が遠くへ、思い出になりました。
ヒトの回復力は凄い、とこういうときいつも思うのだけど、仕事が落ち着いたから
そろそろ自分の創作に戻ろうとかんがえる。
もうしばらく頭を使いたくないって、休みの前は消耗しきってたのにちゃっかり。
頭って意識して使うもんじゃなくて、勝手にうごくものなんだね。


さて、一縷の静寂と癒しを求めて、このごろずっと少しずつ読んでいた本の話。
堀江敏幸さんの「いつか王子駅で」
まだ読み終えていないんだけど、夜半には読み終えるでしょう。
おとといの夜読んでいたら、徳田秋声の「あらくれ」という小説の引用が出てきました。
「あらくれ」なんてタイトルは間違いなく、成瀬巳喜男監督の「あらくれ」で
その文章を読んでいたら、映画が観たくてたまらなくなりました。


で、翌日友人宅でこの映画のDVDを観せてもらいました。めちゃめちゃ面白かった。
高峰秀子の台詞の研ぎ澄まされかた、とにかく台詞の応酬が凄くて、ひっくり返ってばかりでした。
ちょっとこれは大満喫したので、徳田秋声の原作も読んでみたいな〜と思いました。


昨日その友人宅へ行く途中、図書館に寄って少し本を借りてきた。
今日、その中の一冊、なぜか借りていた「神隠しと日本人」というみょうな本を
何気なく開いたらそのページに『徳田秋声君の神隠しバナシ』が載っていたのです・・・
ぞわっとしました・・・
時代もジャンルも全然違う、このルポルタージュ本になぜ、徳田秋声が・・・


 石川県金沢市の浅野町で、
 明治十年ごろに起きた出来事である。
 徳田秋声君の家の隣家の二十歳ばかりの青年が、
 ちょうど徳田家の高窓の外にあった地境の大きな柿の樹の下に、
 下駄を脱ぎ棄てたまま行方不明になった。


これは徳田秋声柳田國男に語った『神隠し』の実体験だそうで、この引用から神隠しのお約束ごとを
考察するっていう、まぁよく読んでみればなんの怖いこともないんだけど、でも・・・
なんでこんなシンクロニシティが起きるわけ・・・
と文庫本の『57ページ目』という中途半端な箇所を、一発で開いてしまった私は魔力を感じたというか
まさか私が神隠しにあうこともないだろうけどハハ、なんて笑いながらも断言できるわけでもなし
たぶん、徳田秋声を早いとこ読んだほうがいいな。呼ばれてるんだな。
と思うことにしました。たぶんこれが正解よね。


しかしこの数日間で、徳田秋声にこれだけコネクトし続けているのは私ぐらいなものよね
「いつか王子駅で」の中に、徳田秋声の「あらくれ」はよく「蟹工船」の傍に置いてあったから
勝手に、血湧き肉躍るあらくれ漁師の物語だと思っていた、と書いてあるんだけど
それすごく共感できるなぁ・・・私もヘミングウェイみたいなの想像してたもの。
全然違うからほんと。びっくりしたね。

いつか王子駅で (新潮文庫)

いつか王子駅で (新潮文庫)

さっき発注しましたホヤホヤ。早く読みたい。
あらくれ (岩波文庫)

あらくれ (岩波文庫)

一応コレも・・・なぜこれをふと借りてきたのか、我ながらさっぱり不明です。でも面白いよ。
神隠しと日本人 (角川ソフィア文庫)

神隠しと日本人 (角川ソフィア文庫)

成瀬の「あらくれ」はDVD化されていませんでした!ショック!というわけで豪華そうなBOXセットを
成瀬巳喜男 THE MASTERWORKS 1 [DVD]

成瀬巳喜男 THE MASTERWORKS 1 [DVD]

おまけの美麗写真っていうのが気になります。