和田堀公園 緑と池と江戸時代へ

akk2008-09-23

今日は本当は映画「スカイ・クロラ」のことを書くつもりだったんだけど
明日に延期して、15分で行ける旅のお話。
昨日の日記に書いたように、皮膚が自然を求めて呼吸したがっているので
思い切って高尾山へ行こうかと思ったけどもう午後2時・・ってんでやめて
親友の薦めで、和田堀公園を散歩してきました。

和田堀公園、杉並は新高円寺と西永福の間にある、善福寺川が横たわる広い緑地。
その緑地は阿佐ヶ谷まで続いているから、散歩したことはあったけど
この公園へ行くのは初めてでした。おもいっきり癒されました。
なによりも、ここがどこだか分からなくなるような完全な緑のなかの池。
わたしは池をみると非常に嬉しくなるたちなので、水面と地面がぎりぎりの近さで
満たされた大きな池に、ただひたすらわぁ〜池〜〜!と魅入られてぐるぐるあるきます。
とにかく広い池なので、ぐるっと回るだけでも15分ほどかかります。
鯉がエサくれとパクパクしてきたり、鴨やきれいな鳥が飛んで、泳ぐ。
木の棒で釣りをする子供達もいる。目が合った少年に、釣れるの?と聞いたら
もじもじして木の棒をひっぱる。ザリガニ、とぶっきらぼうに言って、走っていった。
池というのは圧倒的で、『どこだかさっぱり分からない』ほど人を圧するのはなぜだろう。
私はこういう池をメルボルンで見た、大阪や、岩手や、沖縄でも見た。
だから今ご近所にいるように感じられなかった。それならば生まれて初めて杉並に来た
どこかの観光客のようにこの公園をあるこうと思った。そのスイッチは簡単に入る。

公園の端に、杉並区郷土博物館があって
もう嬉しくなってすっかり旅人めいた高揚感で入った。
ちょうど井伏鱒二と杉並文士の展示をやっていて、井伏鱒二の生原稿の筆跡は、宮沢賢治に似た
乱雑な崩れ字で、必死になんども修正施しているのもまた似ていた。岩手の賢治旅行を思い出す。
博物館には江戸時代の古民家が保存されており、その家に入ると完全に現在地をわすれてしまった。
地点・時間軸・どこかに迷い込んでしまった。
今ちょうど、宮部みゆきの江戸時代の小説を読みまくっているものだから
あたまの中の小説風景が、目の前に実体化して更にリアルに、しずかに佇んでいるのです。
美しかった。畏敬の念をもってその家をみつめた。青森や遠野や金沢で見た古民家を思い出して
長い時間の遡りをみた。土に近い家の姿は美しく、とてもいとしく思った。
これからは疲れたら、古民家めぐりをしようとおもう。旅はどこにでも転がっていてそれに
タイムトラベルですら、電車にのってできるんだって思うのはロマン派すぎますか。。でもいいでしょ!

公園の緑のなかで、夢中になって本を読みました。
さっきの幻のつづき、江戸時代へ。
母親から、宮部みゆきの時代小説はホントにおもしろいよ〜!と大量に貸し出されて
暫くそのままだったのだけど、このごろすっと入って今6冊目。
すべて短編集で、江戸時代の怪談めいたものや殺人事件の物語。
あの人らしく冷静で鮮やかで、じわっと温かい。深く潜り、読み終えるとがばっと我に返る感じです。
今みたばかりの江戸の家屋・・・本を読み、視覚と連なる思考の風景を体験するのはほんとに面白くてふしぎだった。
さて、それでは続きを読むとします。

あやし―怪

あやし―怪