(I’m always)Listening to you,you,you

本当に忙しかったから、今回は観に行けないんじゃないかと思ってた。
だからザ・フー来日にちなんでラジオで音楽が流れているときはひどく動揺したし
もう、見ないようにしてた。テレビのCMも、雑誌も、関連映画の上映も。
しかしどこかで意識が変わって、そうだ編集してるときだ。
100%のものを仕上げて、予定通りに完成させて、誰にも文句をいわせない。
そうしたら行けるって思った。
チケット?どうにかなる。絶対どうにかなる。
実際そうだった。


人生において、見るべきものには縁があり、見ることになっている。
わたしは今までそういった体験ばかりしてきて、だから自信があった。
天にましますわたしの父さんが、わたしとザ・フーを再会させないなんてこと絶対にない。
ザ・フーはわたしの育ての親で
育って大人になった、今だからわたしをぶっ壊してほしかった!
初めて「TOMMY」や「WHO'S NEXT」を耳にしたとき、
マイジェネレーションの楽器全壊をみたときのような、
あの衝撃と全面的な自由と愛がわたしに必要だった。
わたしを育てたのはあの崩壊だったんだ、自分を閉じ込める殻を壊し、世界に向き合う力を。


日本武道館
奇跡的に一階席の前方で見ることができて
おかしくなるくらい感動して、叫んで泣いて、いっしょにうたいました。
ロジャーはもうずーっと、思いつく限りずーっと、マイクをぶんぶん振り回して
カッコ悪くて本当にカッコいい足踏みをして、檻の猛獣みたいにステージ上をぐるぐるあるいて
声が枯れそうになるほど叫んでた。
「Won't get fooled again」の天を裂く叫びは、武道館の屋根をつき破って、天高くどこまでも伸びていき
わたしはまるっきり、あの声とともに身体をふき飛ばされてしまった。
ピートの腕はぐるぐる回り、大きなからだで何度も何度もジャンプして、ぐわんぐわんギターを鳴らす
容赦ない、すごい、以前見たときよりパワーアップしてる!
ステージの上は、背後のスクリーンに映る60年代や70年代の彼らとほとんど同じで
ジョンもムーニーも居ないけれど、この奇跡の混沌、音楽の最たる素晴らしさ、ものすごい磁場。
なんかもうむちゃくちゃなエネルギーのなかに居る幸福。
恐れるものなんてない。生きる障害を次々壊してのしあるいていける。命が終わるまで、
これから何度苦しもうが酷い目に遭おうが私は私だ、誰も歪めることなんかできない。そう思った。
会場の年齢層は私なんかガキってぐらい高くて、おじいちゃんと言える人々もいる。
かれらにわたし、みんなそろってすっごい笑顔で、Teenage Wasteland〜 て歌ってる。
この光景の素晴らしさといったら、年齢や容姿を気にして翻弄されている人々全員に見せてあげたい。
そして、ステージ上のロジャーを見なさい。そう言いたい。かっこ悪くて、本当にかっこいい。
スマートでイケメンのモデルより、がむしゃらで無我夢中のロジャーのカッコイイことといったら!
愛しすぎておもわず笑っちゃうよ。


以前この日記で「トミー」のことを書いたことがあるけども
わたしにとって「トミー」はとても大切な音楽で
いつかザ・フーにありがとうを伝えたくて、その歌詞「Listening to you,I gave the MUSIC」を
大事に胸にしまっているのだけど、本当の意味をずっと知らないでいた。
トミーの劇中なのだから・・・ザ・フーが、耳が聞こえず声も出ないトミーを「聴き」トミーに音楽をあげよう
としてるのか、トミー自身が、聴こえない耳のなかで他人に心を開いて「あなたを聴き」音楽をあげる、と
言ってるのかとも思えた。
でもこの歌を初めて聴いたとき、ザ・フーはわたしを「聴き」わたしに音楽をあげよう、と
言っているのだと思って、ひどく感動して殻が壊れた。なんて優しいんだって。
どれが正しいのかと冷静に和訳をして考えたりしながらも、結局わたしを支えてきたのは
はじめに感じたことだった。
そして今夜、真相が明らかになった。


ロジャーはこの歌の最後で、歌詞にない歌詞をうたった。
I'm always Listening to you,you,you!
会場の観客を、全方位に向けて指をさして、Listening to you,you,you・・・って
きりなく何度もyouと言って、わたしの席もしっかりと見てそう歌った。
やっぱりそうだったんだ!
ロジャーははっきりこう言った、いつもあなたを聴いている。そしてあなたに音楽をあげよう。
ライブだからわかった真相。ボーカリストのアドリブで、わたしのもとに届いた彼らの思い。
この言葉を全身のできうる限りで受け取った。
まるで神様や天使みたいだ、いつもあなたを聴いている。そしてあなたに音楽をあげよう。


いつかわたしはザ・フーにありがとうと伝える。
いつもあなたたちを聴いている。そしてあなたたちに胸いっぱいの愛と感謝を伝えたい。
あなたたちのおかげで今このように生きている、今夜の愛と自由と感動を抱いてこれから生きていく、
その日々を、ザ・フーの名のもとにわたしはもう何ひとつ恥じない。
いつか必ず伝えるんだ。Thank you,you,you,you!!!!


見てね!
http://jp.youtube.com/watch?v=b3mi-bKtDGA