韓流スターの星屑(宝物の話)

実家へ帰ってみたら、ある若い男の子の写真が壁いっぱいだった。
ジュンギ君だ。
うちの母さんが韓国の俳優イ・ジュンギ君にはまっていると知ったのは先月のこと。
雑誌の切り抜きやポストカード、それに「ハングル語講座」「日韓辞典」!
凝り性なものだから、あっという間にハングル語をマスターしてた。
猫たちに向かって、ハングル語を話しているんだって。笑っちゃった。
おかげで家に居る間、ジュンギ君出演のドラマや映画のハイライトシーンを
こまごま見せられ、結局わたしは帰りにそれらを貸りてきたのだけど。
うちの母さんらしいなぁと思ったのが、ジュンギ君の写真の上に
手書きのメモが貼ってあったこと。
「いつもハッピーでいてね」
とハートをいっぱいくっつけて、書いてあった。
それはジュンギ君が、ファンに向けて言った言葉だっていう。


それから見せられたDVDの中で、ジュンギ君はファンの愛情に感動しながらそう言っていた。
それはファン向けの踊ったり歌ったりする舞台で、その最後に。
「いつもハッピーでいてね」
っていうこの韓国の青年のごくシンプルで暖かい言葉が、母さんにはとても響いたみたいだ。
私も素敵だと思う。もやがかった希薄な東京の空気に、この言葉があるとき日本語で響いたら
立ち止まり、空を見上げる人が何人いるだろう。そして少しだけでもほっとする人が。
とてもたくさん居るんじゃないかと思う。


家に帰ってから、あーもう私は本当にあの人の娘だわ!と声に出して言ってしまった。
わたしの部屋の壁には、ザ・フーのピート・タウンゼントの或る日の日記が
プリントアウトして貼ってあるのです。ほんと、やってること同じだ。
それはベースのジョン・エントウィッスルが、ツアー中に亡くなったときの日記で
ザ・フーの活動を続けるかどうかの危機で、当面の公演をキャンセルしていたときでした。
ピートの日記は短いものでした。


We are going on, First show Hollywood Bowl.
Pray for us John,wherever you are.


この「We are going on」にどれだけ励まされてきたかって
思い返すことも困難なほどにです。
その勇気と決意を思うと、あたしの悩みや苦しみなんか本当にとるに足らない、狭い世界のことだって
まるで大自然の中で星空を見上げたときのように、そう思うのです。
そしてわたしの日々もgoing onする。


言葉は一瞬であっても、一生残ることも、短いあいだ強烈に残り、誰かの人生を転換させることもある。
それは宝物のように、胸の中にキラキラ輝く。
「だからね、いつもハッピーでいるんだ!」と満開の笑顔で宣言する母さんを思い出し
つくづくその光の美しさを感じるのです。
P.S.
ジュンギ君の映画「王の男」はかなり面白かったです。ジュンギ君は女性以上に綺麗だった!