ラピュタアニメーションフェスティバル2009

今日からラピュタ阿佐ヶ谷で、アニメーションフェスティバルです。
今年のプログラムはエストニア特集で、本当にエストニアアニメだらけ。
4月に入ると久里洋二枠が入ってくるけど、あとはいつものノルシュテイン位です。
とりあえずエストニアの立体アニメーションスタジオ「ヌクフィルム」特集
Aプロを見てきました。短編7本、手法も世界観もクオリティもバラバラなので
総評などはせず、とても面白かった2本の話。


プロット、演出、アニメーション映像表現すべてが断トツに素晴らしかったのが
「ブラザーズ・ベアハート」
18分とは思えないほどしっかり見ごたえがあり、もっと長く見ていたいと思わせる
のだけど丁度よく終わる。満足。というまず時間配分のバランスが100点満点。
主人公は子グマの三兄弟。母クマが猟師に殺されるわけです。
三兄弟は大人になると、みんな食えない芸術家になっている。
その名前が、ヘンリー、ヴィンセント、それにオーギュスト。
苗字は語られないけれどひとめでわかるロートレックゴッホロダンなのね。
(顔が似てる、特にロートレックの似方は素晴らしい)
枯れたひまわりやムーランルージュ、考える人がおとぎ草紙のように物語に現れて
それだけでめちゃくちゃ楽しいしワクワクする。本当によく考えられたお話。
最後には皆でロシアへ行くんだけど、ロシアの人々の造形がすんごいロシアアバンギャルドだったりして
この監督は美術が大好きで、好きが高じてお話作っちゃったみたいな愉快さです。
最後には母の敵討ちで大捕物をするというアクションも入り、ラストシーンがほのぼのと
ばかばかしくて素敵だしでぜひこれだけでも、機会があったら見て欲しいものです。
わたしはロートレックファンなので、この監督が特にロートレックマニアであることは
一目瞭然でした。ムーランルージュにはルルが登場するんだけど似てるんですよ。あの絵とね。
音楽も「展覧会の絵」や「天国と地獄」をとっておきの感じで流すので、美術への深い愛情が伝わり
とても温かい気持ちになりました。


実写のコマ撮り・コラージュベースで作られている「ウェイ・トゥ・ニルヴァーナ」は
実験映画として見てよし、のとても強いビジュアルショックを受けました。
涅槃へ向かう列車にまぎれた若い男性の幻覚的な世界が主題です。
ものすごいシュルレアリスムだった。説明も台詞もないのだけど、赤い芥子の花が現れる。
若い男の身体の具合からして、ドラッグのオーバードーズで生死の境を飛び回ってるよう。
デレク・ジャーマンセルゲイ・パラジャーノフに萌えるという私のような人は必見です。
テクノ的なスピード感もあり、異様な世界を駆け巡るビジュアルアートとして見せていて
そのあたりも潔い。涅槃へ向かう13分のフラッシュバック。久し振りにこういう映像見た。
小綺麗に小さくまとまってんじゃないよ、といつもの自分に活を入れた。
とてもいい刺激になりました。


去年もあったのかもしれないけど、グッズ売り場にノルシュテインストラップがあって
皮製の紐にロシア語が刻印されていて、手描きのハリネズミのタグがついてるのね。
携帯ストラップなんて頂きものしかつけたことないんだけど、あれはいいなぁ・・・。
でも今つけてるのあるしなぁ・・・と結局買いませんでしたが、いかすストラップを探してる人は
強くお勧めします。あんなのどこにも売ってませんからね。
会場は例年通り、アートアニメ好きの学生さんや渋い大人が集ってなかなかの盛況です。
アニメフェスで春めく阿佐ヶ谷にぜひ遊びにきてね!
http://www.laputa-jp.com/laf/film.html
近々カナダアニメフェスも始まるみたいです(場所は阿佐ヶ谷じゃないけど)
フランス映画祭もイタリア映画祭もあるしで、一気に春がきた感じで楽しいね。