たのしい編集

世間はゴールデンウィーク、私は編集の初日です。
いつもなら会社の編集機にひとり引きこもって孤独な闘いをはじめるところ、
今回はポスプロの編集室でオペレーターさんと、私のアシスタントが二人。
なんていう安心。まったくもって安心だ。こんなに楽なたのしい編集は初めてだ。
信頼できる人たち。ひとりじゃないことがこんなに安心できるなんて。きょうはよく笑った。


普段、自分で編集機を操るのは好きだし自分の中で試行錯誤して完結できるので
決断に迷う時間も含めて、一人でやるのは気楽で慣れている。
だけど、私が手を休めば全て止まるので全身全霊を集中せざるを得ないし
なによりも、これでいいかと一人きりで暗中模索を続けるのは精神的にまいる。
映像の宇宙のなかにぽんと一人で放り出された、深く定まりのない孤独感だ。
それが、今回ははじめから終わるまで少なくとも3人の他人の眼がともにある。
4人で旅をしているようなもので、私は船長で針路を決める。
わたしと編集マンの二人で作業はできるけれど、要所でアシスタントは必要で
おかげでわたしは集中して針路を決められるし、それが間違った方向にいってないと確認できる。
かれらの眼があるだけで、わたしはおかしなことをしてはいないのだと思える。
作品を冷静に見てくれる目があるのはほんとうに安心だ。やりすぎることがない。


わたしがアシスタントディレクターだったころ、深夜に及ぶ編集付きはしょっちゅうあった。
その多くが見守る時間であることに、わたしはこれで役に立っているのかな、とその時はよく思った。
でも実際のところ、役に立っていたんだなと今日しみじみ思う。
うーん迷うなって冗談まじりに意見を求めてきたり、ふとした世間話に付き合ったり、
からかわれて笑ったり、ごはんを手配したり、その場でリサーチしたり、台本を打ち直したり、
全然関係ない雑誌(週刊プロレスとか(笑)を買いにいったり、そういったことすべてが
業務の進行以上に、たぶん先輩ディレクター達のこころを『安心』にしてたってこと。
いっしょに闘うだれか味方がいることは、それだけで安心なのだ。
間違っていたらおかしいって笑ったり、らしくないとつぶやいてくれる人がいてくれれば。
ほんとうに、あのころの私に教えてやりたい。きみはとても役立っているんだ、と。
いつも、一回つなぎ終わったときに必ず「どう?」と私に聞く先輩ディレクター全員を思い出して
私も、まったくおんなじだなあと可笑しくなった。
おじいちゃんになってもそんなことをいうのだからね、ものづくりする人は。おもしろいね。