アキラさんの交響曲第40番

女の妬みというものは本当に気持ちがわるくみっともないものだ。
わたしは自信家だし自分は自分でひとはひとだから、妬む意味がわからない。
妬みの最も忌むべき点は、ひとをおとしめよう幾らでも傷つけようという意思であり
ひきずりおろせば自分は上になる、という愚かな思考回路だとおもう。
だからそういったひとはいつまでも成長をせず、人に対してやさしさをもてず、
人とも自分自身とも向き合わず、とってつけたような不自然なコミュニケーションを繰り返す。
不自然さは不信感を生み、人に壁を作られる。すると焦りさらに不自然な行動に走り
媚びてべたついて他人を自分の所有物にするために取り込もうとする。
他人は変えられない、所有物でもない。決して。友人も恋人も夫婦も同じだ。


私は目の前で狂ったように「ワタシをみてウイルス」を撒き散らす空虚な女に対して
迷惑なことを示すべく完全に突き放しているけれど、執着はひどくなりちょっと異様な感じだ。
・・・たまに会社に戻ったらこれか、とわたしはたいへん失望した。
外は風通しがよくて、笑いとたのしさに溢れている。
あんな女のいる会社には戻りたくないなあ。戻ったらまた監視されて不自然な笑い声がするんでしょ。
と思っていやな気持ちになり、きのうは短く楽しいロケだったから、暫くさぼって遅く戻った。
そのわずかな滞在時間にも女は全力でわたしを傷つけようとした。仲間はずれとか、
あなたよりワタシのほうがこの人と親しい、とかいう見当外れなアピールを繰り返す。
それで、何がしたいのかさっぱりわからない。私は妬みの意味を理解できない。ただ、私だけでなく
皆を迷惑に巻き込んでいることが許しがたく思った。自分の権力誇示の為の人間関係。
囲い込み従わせ、相手の自由を奪おうとする暴力的なコミュニケーション。
いい加減、底知れない怒りと軽蔑がわきあがったから黙って帰った。わたしは怒ると声がでなくなる。


その怒りのエネルギーがひどくて眠れない夜に、もう眠れないからTVをつけたら
なんとですね。NHK-BSでやっている「どれみふぁワンダーランド」が放送していたのです。
これは「クインテット」という子供向け音楽番組にノッポさん的役割でだまって出てる
「アキラさん」がホストで、同じ人とは思えないほどしゃべりまくって、おもにクラシック、
ジャズやロックなんかも冗談でごった煮にしてしまう非常におもしろい音楽番組です。
ああ有難い、すこし気晴らしになると思いながらつらつら見始めたら、
アキラさんの「音楽の深読み」コーナーで、私の怒りは完全にうっちゃられてしまった。
それは、クラシックの名曲にアキラさんが歌詞をつけて満面の喜怒哀楽の顔で歌いまくるコーナーで
なるほどすごい!と虚をつかれて目からうろこが落ちる解釈なの。


曲は、モーツァルト交響曲第40番だった。
アキラさんが冗談のように熱狂的に歌いまくる歌詞は、わたしの怒りを笑い飛ばした。
わたしは思いきり笑ってしまった。
歌詞はこうです。第一楽章のすごい中途半端なところまでで終わる(笑)


(自問自答の第一主題)
ああでもない こうでもない
ああでもない こうでもない
ああでもない こうでもない
皆さんどうです
言いたいこと よく分からない事が あるでしょう
あるね! そだね! あるね! そ・う・だ・ね!
ぼくは ぼくは 言いたい けどね うまく 言えない
いつも いつも この辺が バクハツしそうで
突ー然ー ハッピーに そぅハッピーに
そぅハッピーに そぅハッピーに
と突然ハッピーに なったりするんだ
自分の性格 さっぱり分からない
ああでもなーい こうでもなーい
あーでもないない こうでも な・い!
(天からの声の第二主題)
あーら やーだ あんたバーカね
むーずかーしく考えすぎ あんたも そう思う?


どれみふぁワンダーランド」のアキラさんに、まさかこんなにすっきりと救われる日がくるとは想像だにしなかった!
突ー然ー ハッピーに そぅハッピーになったりするんだアキラさん。
奇跡はいつもそばにある。私はいつもこういう風に毒が回った時、誰かの何かにかならず救われる。
あんな女どうでもいいや。私はいい子じゃない。すっきり勝手に生きよう。私は私で、みんなはみんなで
やっと安心して眠りにつけた。ありがとうアキラさん!ほんとにね。