スターについて

6月はさぼっちゃって、ひさしぶりの日記です。
昨日Twitterに登録してみました。まだまったく活用できていないのだけど
140文字という、ちいさなブログの(気分的な)入力のしやすさににちょっと感動。
mixiみたいな閉じた感じより、こういうメッセージボトルのほうが自由ですてきだな。
そして、暫く日記更新から逃げていたことにも反省。
今日からはTwitterの勢いで書きます。なんつて。


さて、きょうはスターについて。
週末に招待券をいただいて、「愛と青春の宝塚」という宝塚の舞台記録映画をみてきました。
ほんとうに、こんな機会でもなければお目にかかれない「宝塚歌劇団
どがつくほどのエンターテインメント。そしてトップのスターは本当にスター。
誰がどうみてもスターとしか言いようのない、スターでした。
男役のトップは本当に別格で、たとえば造形のうつくしさを超越したどうしようもない魅力。
少女マンガに出てくるすてきな男の人、というのは平面でかつ絵画だから動いてないのだけど
にも関わらず、宝塚の男役の人の動き、立ち振る舞いはまるっきり「少女マンガの男の人の動き」なの。
こんな男の人は(おそらく)いないし、身近にいたらキザでおどろくか笑っちゃう。
少女マンガには色々な男の人が出てくる。不良も優等生もわけありも。
でも主役と脇役は始まった瞬間に決まっていて、はっきりとしたヒエラルキーがあり、
読むとほぼ誰でも、どんなにいけ好かない作画でも、主役の男の人はほぼ絶対的で、読者はみ〜んな惚れるのだ。
但し、それを現実の男の人に重ねるなんていうナンセンスなことはしない。少なくとも私はしたことない。
だから、おどろいちゃった。現実に「動く少女マンガの男の人」を目にして。


この舞台では、宝塚の舞台裏の物語だから男役は「男性として」出てきているわけじゃなく
男役を演じる女性として登場している。男役の女性として男性に恋をするし、舞台を降りればひとりの女性。
だけど、もうなんかもろとも魅力的なのだ。わたしはこのひとを男としてみてるのか女としてみてるのか
そういう次元を超えて、出てくるだけですごくうれしい。なんていう風に、知らず知らずになっていた。
そして、宝塚の構造はそのようになっていて、トップスターは徹底して魅力的でありそのように演出する。
色々驚いた。宝塚には劇団付きのオーケストラがいたりする、そういう最高級を保つためのあらゆる尽力にも。


スターその2。
その翌日、突然友人に呼び出されて国立競技場へ。
そうです。石原裕次郎さんの23回忌、献花式へ行ってきたのです。
国立競技場のグラウンドに、大きなお寺が建っていました。
お坊さんが10人ほど、読経をしていました。
入り口で手渡されたカーネーションの花が、山のように積みあげられていました。
大きなビジョンに裕ちゃんの映像。
50代以上のかたが多く、でもとても若いひともたくさんいました。
若い頃の裕ちゃんの写真。なんて魅力的なんだろう。なんでこんなに見過ごせずに引っ掛かるのだろう。
他愛の無い映画のなかで、ハンサムかというと判断ができない、でもこのひとが笑えばうわぁと世界が一変する
それがスター、おじいさんおばあさんになっても、このひとの鮮やかさが心に残っている、それが。
夜に行ったから一時間ほどの行列ですんだ。昼間は4時間待ちなんて言われてたって。
これだけの人々が、一人の男性の天に昇る笑顔を、笑顔で見送るためにあつまった。
何億円もかけて行ったっていう規模の大きさも、大袈裟なんて思えなくなった。
この、集まり合掌する人々を目にしたら。


韓流スターはスター文化をきちんとしている、と思う。
日本流スターはいまは、わたしには、どこにもいないようにみえる。
芸能人の一般人化は著しくて、わたしの同時代的記憶で最後のスターは永瀬正敏、でもすこし個人的だ。
みんな容姿がそこそこ整っていて、つまんない。粒ぞろいの粒々だらけで。
ハンサムかどうか冷静に判断できないけどすごく魅力的、という域がスターの基準だと私は判断する。
それはほとんど恋とおなじで、なんでなにが好きなのか冷静に判断できないけど大好き、なのだ。
日本流スターが不在に思えるのは、いまの空虚な時代感とダイレクトに直結する気がしていて
自分の内面を見つめないから、ひとの内面にも目がいかない。スターの判断不能な魅力に引っ掛かってしまうよりも
外面だけなんとなくよさそうな人のほうが安全。そうして浅くて引っ掛かりがないのが、求められてるのかなと思う。
それはすなわち、簡単に忘れられるということ。
裕ちゃんファンみたいに、23年後に裕ちゃんのために駆けつけるといった、深い愛の原動力にはなりえない。


それでも、スター文化は廃れないはずだと私は思う。
もうそろそろみんな、希薄で空虚なのには飽きてきてるんじゃないか。
なんとなく、いろいろな側面からなにか、ブレイクスルーの前のよどみを最近感じるよ。