光りつづけるペンライト

わたしがきょう、夕方6時半ごろ、横浜でぽきっと折ったペンライトが
いまも阿佐ヶ谷の部屋で青白く光りつづけている。
現在、午前2時半。
いちど折ったら、6〜8時間光るという私のルミカライトはまだ消えそうもなく
この様子だと8時間光り続けるのかもしれないし、もっと長く続きそうにも思える。
わたしは今まで数え切れないほど多くのライブを観てきたけれど、
ペンライトをぽきっと折って、振り続けたのはきょうが生まれて初めての経験だった。
うちの母さんが大好きな韓国のスター、イ・ジュンギ君の来日公演へ行ってきました。


場所はパシフィコ横浜
みなとみらい駅に着くと、それらしき女性がたくさんいる。
韓流スターのファン層が年齢的に上めなのは周知の事実だけれど、ほんとうにそうなんだけど
ほんとうにみんな、おしゃれで華やか、いまどきなのだ。しかも似合ってる。そんな人ばっかり。
ジュンギ君は韓流のなかでも異端というか、べたついてなくて軽やかで個性的な子だから、
ファンもそうなのかもしれない。
それに案外、韓流スターに夢中になるっていう行為は、メロドラマに骨抜きにされるってことでなく
女性たちが純粋にあかるくキャッキャとたのしんで、日々を鮮やかに満喫するというそれだけのこと
なんじゃないかと思えてくる。
だってうちの母さんがそうだ。変わり者だからサンプルにはならないと思っていたけれど
私と同じく、彼女は変わり者だがポップなのだった。きょうはとてもすてきな格好をした。


ビートルズの来日を知っている。もうすこし年下でもマイケルジャクソンの黄金期。
日本なら御三家・・・郷ひろみ西城秀樹野口五郎。もっと下ならたのきんトリオ
わたしはジャニーズでいうと少年隊や光ゲンジ世代だけど、これはかなり若手に属する。
つまりそのころの多感な女の子たちが、きょうイ・ジュンギを見に全国から集結してるのだ。
スターがスターであり、純粋な憧れと愛の対象だった、もう男性には理解できない範疇にあったころの。
当時の男性たちはきっと、ヒデキのヘアスタイルを真似しても、絶対にヒデキにはなれないことを
知っていた。それがスターなのだ。今なんてちょっと真似すれば似たような感じになる。
日本のスターの過疎化が、この世代の女性たちを韓国のきちんとしたスターへと向かわせる。
彼女達の嗅覚はじつにただしい。


ジュンギ君はかっこいいし、いまどきの青年だと思う。軽やかで冗談がうまく、センスがいい。
だけど絶対に真似できない、スターになるべくした感覚の豊かさがある。
3時間にわたるステージは独特なものだった。
もともと俳優であり歌手ではないから、ひたすら歌い続けるわけじゃない。
けれどもファンを楽しませるために、驚くほど激しいダンスを披露し、自分の歌や他人の歌をたくさん歌い、
日本のファンに向けて日本語の歌詞で歌い(カンペやプロンプターは見あたらなかったから、暗記して)
日本人の司会者を呼んでトークショーをし、日本語をたくさん話し、くまなくファン達に手を振って
その3時間、終始ほんとうに楽しんでいた。
一点の曇りなき笑顔、いつだって。その安心がスターへの純粋な愛の源なのだ。
そしてスターはこういう機会にファンに感謝をし、惜しみなく愛をつたえる。
かれの生きるベースには根底に愛がある。それが、肉眼でよく見えた。


きょうのささやかなカルチャーショックは、会場にプレゼント受け取りコーナーがあったこと。
もうそれだけ多くのファンが、プレゼントをあげようと用意してくるってこと。
これは韓流ならではと思われるサービスだ。なんてファン思いなんだ。
母さんも事前にそのことを知っていて、きちんと用意した。全文、韓国語のメッセージ。素晴らしい。
そしてきっとプレゼントをあげる多くの女性たちはみんな、そうやってハングル語と格闘しながら、
せめて英文でも、お手紙を仕上げてくるんだ。そう思うと感動的だ。
ポップだけどひねくれものの母さんは、もう絶対に誰もあげないし絶対にジュンギ君がもってないと
言い切れるものをプレゼントに選んだ。
しかし、絶対にすばらしいものを。


Junki-sii,listen this great-live-music.Your soul will shine like (a lot of our) Pen-Light.