マンハッタンラブストーリー

このごろ「相棒」を熱心にみるうちに、ミッチーがとてもすてきなことに気づいた。
ミッチーの凄さは、おもしろいほど軽やかな佇まいのところで
頭からつま先まで、声から表情まで、その軽やかさが完璧なことだ。
寸分の隙もなく、軽やかさは崩れることなく、カメレオンの変化をする。
あまりに完璧だから、ミッチーはコメディイメージが強かったけれど
「相棒」のミッチーをみていると、ミッチーはミッチーそのものなのに
実に自然に「神戸くん」に変化している。めずらしい役者だなあとおもう。


ミッチーがきになってしかたないので「マンハッタンラブストーリー」という連続ドラマを借りてみた。
クドカンのドラマで、すっごく面白かったんだけど、ミッチーは振付師の役で踊りまくっていて
踊っているミッチーをしげしげと見たのは初めてでしたがまあ!すごいすごい。
これはスターだなあ・・・・宝塚のスターなんかと同じ、異様な華やかさでおどろいてしまう。
しかしミッチーのすごいのは、自信満々で踊ってるときと、恋に悩んでるときの踊りと、はっきりと空気が違えているところ。
身体は完璧に動いているのに、スター状態と、身体だけ動いてるけど心ここにあらずな状態と
みてるわたしに訴える、ダンスの巻き込み力がまるで違う。
もちろん表情が大きいのだけど、そんなふうにとても繊細に、全身で表現をする。ますますファンになりました。
ミッチーは初回でキョンキョン相手に求愛のダンスをし、最終回で、振られても大好き♪とダンスをするんです。
同じ横浜の埠頭で、ヘッドライトに照らされて、ほとんど同じ振り付けで踊りまくるんだけど
BGMが「君の瞳に恋してる」と「セプテンバー」ってのもそうとう王道で逆にハイセンスなんだけど
わたしはうっかり、最終回のミッチーの踊りには、胸がつまって涙が・・・。
(しかしこれは始まって10分くらいの序盤なので、ドラマ的には泣かせるシーンではないかもなぁ)
私には、素晴らしく泣けるダンスシーンでした。よかったら見てみてください。


しかしこのドラマはたいへん面白かった。
恋がばかばかしいほど多発してシャッフルするコメディなのだけど、どんなひとでも
恋の状態になってしまうと、なにかしら正常でない、常人の考え及ばぬような不安や妄想に襲われる。
というのを毎回、人を違えて相手がころころ変わったりしながら描いてる。
ここまでみせられると、ああみんな面白いほどこうなっちゃう、自分は異常者じゃないかも、と安心するし
(恋の状態のどうしようもなさって、自分が異常者じゃないかと思いませんか。私はいつも悩みます。)
相手をみないで感情を押し付けるのは、圧力をかけすぎて苦みしかないエスプレッソと同じで台無しだとか
せりふはたくさん、いいことを言う。
とにかく恋愛多発すぎて、でも恋のさや当ての優雅さは誰にもなく、全員必死でテンパっている。
という根っこがじつにウッディ的なドラマ。
見たあとに、とても恋のもつ重さ・・・例えば執着とか嫉妬とか義務とかしがらみなんかが
いかにばかばかしいかに気づいて、とくに悩んでる人は、心が軽くなれるとおもう。
そういう恋の重いのが好きな人もいれば、苦しくてつぶれちゃう人もいるけども、わたしは
恋はミッチーの佇まいのように軽やかで、加えて安心できればそれでいい。とおもう。
・・・べつに好みのタイプはミッチーよ、と言ってる訳じゃないからね。
HDD録画のお好みキーワードに「及川光博」を追加したけど、ちょっと注目してるだけだからね!(ツンデレ