子猫入る

うちの庭に子猫の季節がやってきた。
いつも梅雨どき近くなると、どこからか子猫を連れてくる母猫は茶トラで
庭には茶トラの猫がふえてゆく。みなとても可愛い。
軒下にえさを出していると、猫たちは庭でのびて好きに過ごしている。
でも部屋の中には入ってこない。
たまに(雨の日なんかは)入ってくればいいのに…と切に思うのだけど
野良の警戒心か、習慣がなくぴんとこないのか、ぜんぜん入ってこない。
でも、ちょっとつかれた、とか頭を休ませたい夜に、庭にでると猫がきて
ころがって甘えたりするのをながめることができる。
ちょっと遊んだり。それだけで充分と思う。


ところが。
昨晩えさをあげていたら、子猫の一匹が勢いあまってぴょん!と部屋に入ってきた。
子猫はすばしこいし、すぐにてんぱるから、ものすごいはやさで部屋じゅうをはねる。
わたしはびっくりして、お外出なさい、とドアをしばらく開けて待ってたのにかまわず
てんぱったあげくにつかれちゃった様子で、部屋の隅でハコ座りして、うとうとしはじめた。
どうしよう…この子、入っちゃった。
明日わたし仕事なのに、朝も出て行かなかったらどうしよう、家に置いていくなんて…
いざ入ってくると、家には受け入れ態勢がないことに、とまどいを隠せない。
それに、部屋のなかに猫がいるその気配の大きさに、どきどきする。


実家には一番多いときには5匹の猫がいた。
猫と同居する生活には慣れきっているはずなのに、初めての猫飼う人みたいなおろおろ感。
とりあえず、わたしも眠いからほっといて寝よう、外に出たければ起こすでしょう、と
ベッドに入ったはいいけど気になって眠れない。
子猫も同じ気持ちだったようで、もぞもぞ、起きて探検したりする。
気になるからわたしもがばっと起きると、子猫てんぱってはねる。
これを一時間ほどしていると、表で母猫が鳴きはじめる。
子猫、いよいよ外に出たいかな…と思ってみると、居眠りしてる(笑)
もう、眠れないから起きて、子猫に手をだしてみると、案外すなおに触らせてくれた。
あれ、逃げない?
子猫も眠くてなんだかわからなくなってきたのか、この環境と人に慣れてきたのか?
ゆっくりなでなでして、ついでに、とひょいと身体をつかんだら、かるがるともてた。
ついくせで抱っこしたら、あっさりひざの上に収まり、眠そうにしている。
小ささを堪能して、それからひょいとドアを開けて、お外に出る?としたら
ピョンピョーンと出ていった。
ああ、あせった。
これでゆっくり眠れる…とパタンとドアを閉めると、気配のなさを急にさびしく感じて
忙しい朝でも、眠くてたまらない夜でもなく、ゆっくりできるときに
また入ってきたらいいなあと思った。


子猫入った写真(てんぱって部屋の隅にかくれている様子)